四季折々の美しい【栃木県の名水】2カ所をご紹介~名水百選より~
関東地方の北部で海に面していない地、栃木県。関東平野や高原山(たかはらやま)などの自然が豊かな地域からすぐれた名水が生みだされてきました。
名水がある佐野市は、昔は宿場町(しゅくばまち)としてさかえてきた歴史ある地です。また、もう一つの名水のある塩谷町(しおやまち)と矢板市の境界あたりは、高原山のふもとの美しい森林におおわれており、名水にふさわしい自然環境にあります。
今回ご紹介するのは、江戸時代からの歴史ある名水「出流原弁天池(いずるはらべんてんいけゆうすい)」、冬はこおることなく夏はすずしい「尚仁沢湧水(しょうじんざわゆうすい)」の2カ所です。また、出流原弁天池は約16℃、尚仁沢湧水は約11℃と一年を通してほぼ一定の水温であると言われています。
以下の文章では、春夏秋冬の美しい自然が生み出した栃木県の計2カ所の名水についてご紹介していきます。
目次
昭和の名水百選
出流原弁天池湧水
読みがな:いずるはらべんてんいけゆうすい。
佐野市は江戸時代、「天明宿(てんみょうじゅく)」と呼ばれ、街道の宿場町として栄えてきました。そうした市の北部に、1956(昭和31)年県文化財天然記念物に指定された「出流原弁天池」があります。
水は一年を通して水温が約16℃とほぼ一定で、現在では、流れ出した水は魚を飼育してふやすのに使われたり、下流のほうでは農業用水に利用されたりしています。
また、この湧き水は公園の中にあるために人と水とのかかわりあいが深く、つりやボートなど、人々のあそびの場にもなっています。管理は市があたっていて、湧水の周りの清掃などは地域住民がおもに行っています。
種類
湧水
所在地・アクセス
栃木県佐野市
- 北関東自動車道「佐野田沼IC」から「出流原弁天池」まで車で約9分(4.5km)。
水質データ
水温 | 16.3℃ |
---|---|
硬度(mg/L) | 92.4(中硬水) |
水素イオン濃度(pH) | 7.0 |
電気伝導度(EC) | 257.3 |
塩化物イオン(Cl–) | 10.6 |
硝酸イオン(NO3–) | 8.7 |
硫酸イオン(SO42-) | 22.1 |
重炭酸イオン(HCO3–) | 75.6 |
ナトリウムイオン(Na+) | 7.3 |
カリウムイオン(K+) | 2.9 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 6.4 |
カルシウムイオン(Ca2+) | 26.5 |
二酸化ケイ素(SiO2) | 175.4 |
尚仁沢湧水
読みがな:しょうじんざわゆうすい。
矢板市と塩谷町の間にある尚仁沢は、栃木県と茨城県を流れる那珂川(なかがわ)の上流の一つ、荒川のさらに上流に位置しています。
この山の頂上とふもとの中間にある「尚仁沢湧水」は一年の水温はほぼ11℃前後とかわらないため、夏には天然のすずしさがただよい、冬季になっても凍ることはありません。
また、尚仁沢湧水は昔から林業にたずさわってきた多くの人々の飲み水としても、地域住民の生活用水としても欠かすことのできない水でした。
現在でも、この水は町の指導のもとに地域住民によって大切にされ、春夏秋冬の美しい水の環境が守り伝えられてきています。
種類
湧水
所在地・アクセス
栃木県塩谷郡塩谷町
- 東北自動車道「矢板IC」から「尚仁沢湧水」まで車で約37分(23.0km)。
水質データ
水温 | 11.5℃ |
---|---|
硬度(mg/L) | 17.9(軟水) |
水素イオン濃度(pH) | 7.6 |
電気伝導度(EC) | 63.5 |
塩化物イオン(Cl–) | 1.2 |
硝酸イオン(NO3–) | 0.7 |
硫酸イオン(SO42-) | 3.8 |
重炭酸イオン(HCO3–) | 25.6 |
ナトリウムイオン(Na+) | 3.0 |
カリウムイオン(K+) | 0.8 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 0.9 |
カルシウムイオン(Ca2+) | 5.7 |
二酸化ケイ素(SiO2) | 70.4 |
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栃木県の名水百選マップ
- (上側)尚仁沢湧水
- (下側)出流原弁天池湧水