文化の地に湧き出た【石川県の名水】7カ所をご紹介~名水百選より~

文化の地に湧き出た【石川県の名水】7カ所をご紹介~名水百選より~

文化財(ぶんかざい)や景色の宝庫としてしられる地、石川県。

今回ご紹介するのは、弘法大師がつえを岩につきさして湧き出たといわれる「弘法池の水(こうぼういけのみず)」、古くからある寺院で今でも仏に茶を献(けん)ずる時に使われる水「古和秀水(こわしゅうど)」、海のちかくにあり貴重な動物や植物がすむ歴史ある水「御手洗池(みたらしいけ)」、まくらのそばで月光観音がみちびいたといわれる「藤瀬の水(ふじのせのみず)」、歌やおどりや茶会で親しまれている「桜生水(さくらしょうず)」、日本三名山の一つから流れてきた「白山美川伏流水群(はくさんみかわふくりゅうすいぐん)」、頂上から日本海をのぞめる山にわく清らかな水「遣水観音霊水(やりみずかんのんれいすい)」の7つです。

以下の文章では、加賀百万石として知られる石川県が生みだした計7カ所の名水についてご紹介していきます。

目次

昭和の名水百選

弘法池の水

読みがな:こうぼういけのみず。

「弘法池の水」は白山(はくさん)の源、手取川(てどりがわ)の中流にあり、くぼみの岩穴の底から湧き出ている清水です。この清水には、かつて弘法大師がつえを岩に突きさしたところ水が湧き出たという伝説がのこっています。

1978年(昭和53年)に簡易水道(かんいすいどう)がもうけられるまで地域の住民が飲み水として利用していました。

現在では、多くの人が飲み水をくみに湧水の地に訪れており、地元の人が湧き水のまわりの管理を行っていて、水質の保全がはかられています。

弘法池の水

種類

湧水

所在地・アクセス

石川県白山市

水質データ

水温 11.7℃
硬度(mg/L) 36.9(軟水)
水素イオン濃度(pH) 6.4
電気伝導度(EC) 124.5
塩化物イオン(Cl 7.7
硝酸イオン(NO3 6.7
硫酸イオン(SO42- 10.4
重炭酸イオン(HCO3 33.1
ナトリウムイオン(Na+ 6.2
カリウムイオン(K+ 1.0
マグネシウムイオン(Mg2+ 2.3
カルシウムイオン(Ca2+ 11.0
二酸化ケイ素(SiO2 89.8

古和秀水

読みがな:こわしゅうど。

「古和秀水」は、能登半島の北西、輪島市門前町鬼屋(わじましもんぜんまちおにや)地区の高尾山(たかおさん)のふもとにあります。湧水量は少ないですが、一年を通じ、いかなる日照りの時にもたえることがないといわれてきました。

古い資料によると、この古和秀水というのは総持寺(そうじじ)がはじまった当時からあるものだということがわかります。

現在にいたるまで総持寺祖院(そうじじそいん)では仏に献ずる茶や湯の水として使われているほか、あたりの住民も仏前のお水やお茶用の水として利用してきました。本湧水のまわりの清掃活動は総持寺がおこなっており、水がきれいに保たれています。

古和秀水

種類

湧水

所在地・アクセス

石川県輪島市

水質データ

水温 12.8℃
硬度(mg/L) 26.1(軟水)
水素イオン濃度(pH) 6.0
電気伝導度(EC) 142.8
塩化物イオン(Cl 25.0
硝酸イオン(NO3 4.7
硫酸イオン(SO42- 4.2
重炭酸イオン(HCO3 27.8
ナトリウムイオン(Na+ 13.9
カリウムイオン(K+ 1.4
マグネシウムイオン(Mg2+ 3.2
カルシウムイオン(Ca2+ 5.2
二酸化ケイ素(SiO2 125.1

御手洗池

読みがな:みたらしいけ。

「御手洗池」は能登半島国定公園の一部である七尾湾(ななおわん)のすぐちかくにあり、赤倉神社の境内(けいだい)にある池で、別名「赤倉神社お池」ともよばれています。

この池は、真夏でも冷たい空気が肌にさわるほど絶好の避暑地となっています。池の水辺にはカゴノキなどの貴重な植物も確認され、近ごろアベノサンショウウオの産卵池にもなってきています。

赤倉神社の由来については推古天皇(すいこてんのう)の時代にまでさかのぼらなければなりませんが、この池の水は長い年月にわたって、飲み水、農業用水などとして地元住民から愛されてきました。現在の湧き水周辺の管理は、地元住民によって行われています。

御手洗池

種類

湧水

所在地・アクセス

石川県七尾市

水質データ

水温 14.0℃
硬度(mg/L) 39.2(軟水)
水素イオン濃度(pH) 7.0
電気伝導度(EC) 140.0
塩化物イオン(Cl 12.7
硝酸イオン(NO3 0.0
硫酸イオン(SO42- 1.6
重炭酸イオン(HCO3 60.0
ナトリウムイオン(Na+ 10.8
カリウムイオン(K+ 1.6
マグネシウムイオン(Mg2+ 4.5
カルシウムイオン(Ca2+ 8.3
二酸化ケイ素(SiO2 159.0

平成の名水百選

藤瀬の水

読みがな:ふじのせのみず。

「藤瀬の水」は、七尾市にあります。

国の重要文化財に指定されている座主(ざす)家の当主は、長い間重い神経痛になやまされていましたが、1979年(昭和54年)の深夜、夢でおつげを聞いてこの水をのみ続けたという話があります。

この水は口あたりがよく、お茶をわかしたり、ご飯をたいたり、地元の飲食店や洋菓子店などの調理にも使われています。

のどかな集落の山間部に湧く水を中心にして整備された「藤瀬霊水公園(ふじのせれいすいこうえん)」には農産物などが売られ、地域の社交の場にもなっています。

藤瀬の水

種類

湧水

所在地・アクセス

石川県七尾市

水質データ

水温 14.5℃
硬度(mg/L) 30.8(軟水)
水素イオン濃度(pH) 6.6
電気伝導度(EC) 142.0
塩化物イオン(Cl 15.7
硝酸イオン(NO3 0.0
硫酸イオン(SO42- 2.0
重炭酸イオン(HCO3 51.3
ナトリウムイオン(Na+ 12.9
カリウムイオン(K+ 2.8
マグネシウムイオン(Mg2+ 3.7
カルシウムイオン(Ca2+ 6.4
二酸化ケイ素(SiO2 68.2

桜生水

読みがな:さくらしょうず。

「桜生水」は、国府台(こくふだい)のふもとにあって、春には桜が美しくさきほこり、まわりは公園として整備されています。名の由来は、かつて桜の大木が枝をひろげて、泉をおおっていたことによります。

水は、「桜泉の真清水の・・・」と、地元の小学校の校歌でも歌われていることからも、地域に深く根づいていることがうかがえます。

ほこらがたつ清水からはベンチがおかれたある公園がつづき、せせらぎに耳をかたむけながらの散歩ができます。また、桜生水は、地元の保存会が一体となって地域の遺産としてたいせつに保存されています。

桜生水

種類

湧水

所在地・アクセス

石川県小松市

水質データ

水温 16.6℃
硬度(mg/L) 23.0(軟水)
水素イオン濃度(pH) 6.1
電気伝導度(EC) 112.0
塩化物イオン(Cl 16.1
硝酸イオン(NO3 1.1
硫酸イオン(SO42- 2.4
重炭酸イオン(HCO3 47.6
ナトリウムイオン(Na+ 10.0
カリウムイオン(K+ 3.4
マグネシウムイオン(Mg2+ 2.4
カルシウムイオン(Ca2+ 5.3
二酸化ケイ素(SiO2 不明

白山美川伏流水群

読みがな:はくさんみかわふくりゅうすいぐん。

「白山美川伏流水群」は、白山にふった雨や雪が手取川(てどりがわ)を通して市内の地中をながれ、100年以上かけて20カ所以上に湧き出しています。

したがって、美川(みかわ)地域ほぼ全域から水が湧きだし、古くから少しほるだけで地下水が湧くほど水が豊富で、多くの家庭において湧水が生活に利用されています。

その各場所には「蓮池(はすいけ)の水」、「大浜の水」などの名が付けられ、洗い場などが整備されています。野菜を洗ったり、洗濯をしたり、夏はくだものを冷やしたりと、住民にとって生活に密接した財産の一つとして使われてきました。

全国でもめずらしいフグの卵巣の「ぬかづけ」や「かすづけ」、イワシの「ぬかづけ」、かきもちなど、地元の特産品にもこの水が使われています。

白山美川伏流水群

種類

湧水

所在地・アクセス

石川県白山市

水質データ

水温 15.6℃
硬度(mg/L) 58.3(軟水)
水素イオン濃度(pH) 7.1
電気伝導度(EC) 131.1
塩化物イオン(Cl 7.6
硝酸イオン(NO3 2.5
硫酸イオン(SO42- 14.7
重炭酸イオン(HCO3 53.7
ナトリウムイオン(Na+ 4.9
カリウムイオン(K+ 0.9
マグネシウムイオン(Mg2+ 3.3
カルシウムイオン(Ca2+ 18.0
二酸化ケイ素(SiO2 不明

通販で購入できるおすすめ品

霊峰白山の水

富士山、立山と共に日本三名山のひとつである霊峰白山から流れる雪解け水は、長い年月をかけていくえにも折り重なった地層を通り、土壌中のミネラル分をたっぷりと溶け込ませた天然水です。

体に吸収されやすいpH値:7.1の弱アルカリ性であり、まろやかでやわらかい口当たりの軟水になっています。

「霊峰白山の水」は、その天然水を地下75メートルからくみ上げて、自然のままにボトルに詰めたナチュラルミネラルウォーターです。

酒蔵の水

「酒蔵の水」は1625年創業の酒蔵・福光屋が、酒の仕込みに使用する「恵みの百年水」をボトルに詰めました。

白山に降り注いだ雨が地中に深くしみ込み、貝殻層を通り抜けることで酒造りに最適なミネラル分を含み、福光屋の地下100mに湧き出しています。

「酒蔵の水」は日本酒の合間に飲み深酔いを防ぐ、和らぎ水(やわらぎみず)としてもおすすめです。

遣水観音霊水

読みがな:やりみずかんのんれいすい。

高さ402mの遣水観音山(やりみずかんのんやま)は、奈良・平安時代から修行をするために多くの人が訪れた山です。

登山口にたつほこらの裏から湧き出るのが「遣水観音霊水」です。この水を知ってもらおうと、1990年代に湧水口、水くみ場、親水公園、休憩所が完成しました。地元町民が普段からそうじを、冬には除雪作業などをおこなっています。

1年を通してかれずに豊富に湧く水はまろやかな軟水で、コーヒー、お茶などの飲料水だけでなく、ご飯や煮物の料理用にも使われています。

遣水観音霊水

種類

湧水

所在地・アクセス

石川県能美市

水質データ

水温 15.8℃
硬度(mg/L) 3.2(軟水)
水素イオン濃度(pH) 6.3
電気伝導度(EC) 50.7
塩化物イオン(Cl 10.4
硝酸イオン(NO3 0.9
硫酸イオン(SO42- 3.2
重炭酸イオン(HCO3 7.9
ナトリウムイオン(Na+ 5.1
カリウムイオン(K+ 2.8
マグネシウムイオン(Mg2+ 0.6
カルシウムイオン(Ca2+ 0.3
二酸化ケイ素(SiO2 不明

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