麗しい自然が育んだ【兵庫県の名水】5カ所をご紹介~名水百選より~
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日本海と瀬戸内海にはさまれた地、兵庫県。
関西でも有数の大都市がありながら、海の幸や山の幸が豊富な環境にあるこの地に、すぐれた名水が今日まで湧きだしてきました。
今回ご紹介するのは、灘酒につかう水として有名な「宮水(みやみず)」、神戸市民のいこいの場にもなる自然豊かな「布引渓流(ぬのひきけいりゅう)」、地元住民の強い意思できれいに保たれている「千種川(ちぐさがわ)」、遠方から水をもとめる人でにぎわう「松か井の水(まつかいのみず)」、樹齢100年の巨木が呼びよせる「かつらの千年水」の5つです。
以下の文章では、昭和・平成あわせて計5カ所の兵庫県の名水についてご紹介していきます。
昭和の名水百選
宮水
読みがな:みやみず。
「宮水」は兵庫県東部に位置しており、灘酒(なだしゅ)の名声を全国に広めた名水です。
井戸は浅井戸で、その水面は地表から2~3mのところにあり、海水面とほとんど変わらないので海水の影響をうけやすいのが特徴です。この地域の約30の井戸場には、約70本の井戸が掘られて水があげられています。
大正末期までは海岸のちかくでも良い水が得られていましたが、室戸台風によって海岸地帯の井戸が北方へ井戸場を移動させざるをえなくなり、最終的に現在のところに落ち着きました。
1954年(昭和29年)2月には、宮水を保存するために「宮水保存調査会」が結成され、水量確保・水質維持のために必要な調査研究が現在でも行われています。

種類
地下水所在地・アクセス
兵庫県西宮市- ・名神高速道路「西宮IC」から「宮水」まで車で約3分(1.0km)。
水質データ
※以下の水質データの数値は公開時(2016年)の当サイト調査値で、一次資料の再確認を順次進めています。
| 水温 | 20.0℃ |
|---|---|
| 硬度(mg/L) | 175.1(硬水) |
| 水素イオン濃度(pH) | 6.8 |
| 電気伝導度(EC) | 530.0 |
| 塩化物イオン(Cl–) | 40.3 |
| 硝酸イオン(NO3–) | 14.1 |
| 硫酸イオン(SO42-) | 43.1 |
| 重炭酸イオン(HCO3–) | 189.5 |
| ナトリウムイオン(Na+) | 34.9 |
| カリウムイオン(K+) | 15.1 |
| マグネシウムイオン(Mg2+) | 7.3 |
| カルシウムイオン(Ca2+) | 58.1 |
| 二酸化ケイ素(SiO2) | 29.5 |
布引渓流
読みがな:ぬのひきけいりゅう。
「布引渓流」は六甲山に源を発し、神戸市の中央を北から南へ流れる生田川の一部です。
六甲山には多くの断層破砕帯(だんそうはさいたい)があって大量の地下水をふくみ、これが中小河川の涵養水(かんようすい)となっています。
なかでも本河川には布引の滝や貯水池などがあり、これらは市民のレクリエーションの場として多くの人々に親しまれています。また、神戸市の中でも最も豊富な水生生物相が見られるなど、豊かな自然にめぐまれているスポットでもあります。
本河川の自然保護については、子供会、婦人会および登山愛好会などから構成される「布引・市ヶ原を美しくする会」が中心となっておこなわれています。

名水百選選抜総選挙
景観が素晴らしい名水部門 エントリー種類
河川所在地・アクセス
兵庫県神戸市- ・阪神高速道路3号神戸線「生田川出入口」から「布引渓流」まで車で約12分(2.8km)。
水質データ
| 水温 | 24.5℃ |
|---|---|
| 硬度(mg/L) | 25.9(軟水) |
| 水素イオン濃度(pH) | 7.0 |
| 電気伝導度(EC) | 92.0 |
| 塩化物イオン(Cl–) | 6.4 |
| 硝酸イオン(NO3–) | 2.2 |
| 硫酸イオン(SO42-) | 8.7 |
| 重炭酸イオン(HCO3–) | 25.6 |
| ナトリウムイオン(Na+) | 6.6 |
| カリウムイオン(K+) | 1.1 |
| マグネシウムイオン(Mg2+) | 1.4 |
| カルシウムイオン(Ca2+) | 8.1 |
| 二酸化ケイ素(SiO2) | 16.4 |
千種川
読みがな:ちぐさがわ。
「千種川」は兵庫県、鳥取県および岡山県の県境、江良峠(えらとうげ)に源を発し、兵庫県西部を南流しながら播磨灘にそそいでいる川です。
本河川はきわめて清く、人の手があまり加わっておらず、上流の山間部には今なお美しい自然景観が残されています。川ぞいにはこれらを生かしたキャンプ場、オリエンテーリングコースなどの野外活動施設が整備されており、千種川グリーンラインとよばれています。
千種川流域の環境保全活動については、川ぞいの自治体などが「千種川流域環境保全協議会」を結成し、不法なゴミすてを監視したり、川の美化に努めるなどしています。
また、地元のライオンズクラブの主催で、毎年小中学生の参加により水生植物調査が行われており、地域住民の千種川の清流を守る意識は高いものになっています。

種類
河川所在地・アクセス
兵庫県宍粟市・佐用町・上郡町・赤穂市- ・中国自動車道「佐用IC」から「千種川」まで車で約53分(38.7km)。
水質データ
| 水温 | 19.5℃ |
|---|---|
| 硬度(mg/L) | 13.1(軟水) |
| 水素イオン濃度(pH) | 6.9 |
| 電気伝導度(EC) | 53.2 |
| 塩化物イオン(Cl–) | 2.8 |
| 硝酸イオン(NO3–) | 0.3 |
| 硫酸イオン(SO42-) | 2.5 |
| 重炭酸イオン(HCO3–) | 17.6 |
| ナトリウムイオン(Na+) | 3.7 |
| カリウムイオン(K+) | 0.3 |
| マグネシウムイオン(Mg2+) | 0.7 |
| カルシウムイオン(Ca2+) | 4.1 |
| 二酸化ケイ素(SiO2) | 13.6 |
平成の名水百選
松か井の水
読みがな:まつかいのみず。
「松か井の水」は、見わたすかぎり美しい山並みがつらなる笠形山千ヶ峰(かさがたやませんがみね)県立自然公園内にあります。
山の管理を地元の集落がおこなっており、豊かな緑におおわれた山々を含め周辺の環境は良好に保たれています。
ここはもともと、室町時代にこの地をおさめていた赤松義村(あかまつよしむら)が定めたとされる播磨(はりま)十水の一つで、峠ごえの時に動けなくなった人も、この水をのめば元気になったという言いつたえが残されてきました。
本湧水をくむ際は、アクセスを考えると「新松か井の水公園」が適しているでしょう。この公園には、京阪神などから名水をもとめる人でにぎわっています。

種類
湧水所在地・アクセス
兵庫県多可郡多可町- ・播但連絡道路「神崎南ランプ」から「松か井の水」まで車で約15分(11.5km)。
水質データ
| 水温 | 13.0℃ |
|---|---|
| 硬度(mg/L) | 7.5(軟水) |
| 水素イオン濃度(pH) | 6.8 |
| 電気伝導度(EC) | 65.6 |
| 塩化物イオン(Cl–) | 2.2 |
| 硝酸イオン(NO3–) | 0.0 |
| 硫酸イオン(SO42-) | 1.2 |
| 重炭酸イオン(HCO3–) | 28.0 |
| ナトリウムイオン(Na+) | 6.7 |
| カリウムイオン(K+) | 1.2 |
| マグネシウムイオン(Mg2+) | 0.3 |
| カルシウムイオン(Ca2+) | 2.5 |
| 二酸化ケイ素(SiO2) | 不明 |
かつらの千年水
読みがな:かつらのせんねんすい。
兵庫県観光百選の第一位にも選出された景勝地、瀞川平(とろかわたいら)。
周囲をうるわしい山々にかこまれた高原のほぼ中央に位置する但馬(たじま)高原植物園に「かつらの千年水」はあります。
植物園は約1,300種の樹木や草花、トンボや小鳥なども多く生息するすがすがしい場所です。水が湧き出すのは、園の象徴である樹齢1,000年の「和池(わち)の大カツラ」の根元ちかくです。
大カツラが成形した森は、高坂川の源流となり、農業・生活用水として使われています。水温は年間平均10℃で、園内のレストランでは千年水を使った「千年コーヒー」が味わえます。

名水百選選抜総選挙
景観が素晴らしい名水部門 第3位種類
湧水所在地・アクセス
兵庫県美方郡香美町- ・北近畿豊岡自動車道「八鹿氷ノ山IC」から「但馬高原植物園」まで車で約32分(23.7km)。
水質データ
| 水温 | 10.0℃ |
|---|---|
| 硬度(mg/L) | 12.7(軟水) |
| 水素イオン濃度(pH) | 6.8 |
| 電気伝導度(EC) | 58.6 |
| 塩化物イオン(Cl–) | 3.5 |
| 硝酸イオン(NO3–) | 0.3 |
| 硫酸イオン(SO42-) | 0.9 |
| 重炭酸イオン(HCO3–) | 24.4 |
| ナトリウムイオン(Na+) | 4.2 |
| カリウムイオン(K+) | 1.0 |
| マグネシウムイオン(Mg2+) | 1.3 |
| カルシウムイオン(Ca2+) | 3.0 |
| 二酸化ケイ素(SiO2) | 不明 |
兵庫県の名水百選マップ
- ・(1番左)千種川
- ・(左から2番目)かつらの千年水
- ・(左から3番目)松か井の水
- ・(左から4番目)布引渓流
- ・(1番右)宮水
近隣の名水もあわせてご覧ください
- ・大和の山々が生んだ【奈良県の名水】3カ所をご紹介~名水百選より~
- ・歴史と伝統がある【和歌山県の名水】5カ所をご紹介~名水百選より~
- ・山陰の地が育んだ【鳥取県の名水】4カ所をご紹介~名水百選より~
- ・ミネラルが豊富な【岡山県の名水】4カ所をご紹介~名水百選より~
宮水でつくられた酒
宮水は、灘の酒づくりのために守られてきた水です。西宮の蔵がその水でつくる酒を飲むと、記事の話が舌でも分かります。
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硬い水がつくる味
灘の酒づくりに使われる宮水は、本文の水質データでは県内でもっとも硬度が高い水でした。硬さの違いが飲み口をどう変えるかは、次の記事で整理しています。
※環境省の名水百選ポータルには「選定された名水は飲用に適することを保証するものではありませんので、飲用に供される場合は、その名水が所在する自治体にご確認ください」との注意が掲載されています(環境省 名水百選ポータル・2026年8月9日確認)。
出典
一次資料(政府機関・公的機関の公表資料および査読論文)
- ・環境省|名水百選(昭和60年選定)一覧|宮水・布引渓流・千種川の選定|確認日2026-08-30
- ・環境省|平成の名水百選 一覧|松か井の水・かつらの千年水の選定|確認日2026-08-30
- ・環境省|かつらの千年水 詳細|和池の大カツラ(樹齢1000年以上)|確認日2026-08-30