出雲の自然が生んだ【島根県の名水】5カ所をご紹介~名水百選より~

出雲の自然が生んだ【島根県の名水】5カ所をご紹介~名水百選より~

出雲大社などの歴史的な建物でしられる地、島根県。

日本海側に位置しながらも比較的あたたかいこの地に、質がよい水がわきだしてきました。

今回ご紹介するのは、名僧が霊気を感じて名づけられた「天川の水(てんがわのみず)」、お守りや長生きの水として島民にだいじにされてきた「壇鏡の滝湧水(だんぎょうのたきゆうすい)」、青々とした松の木がたくわえた「浜山湧水群(はまやまゆうすいぐん)」、滝の女神の伝説がかたりつがれる「鷹入の滝(たかいりのたき)」、清流・高津川の源泉で杉がどっしりとそびえる「一本杉の湧水(いっぽんすぎのゆうすい)」の5つです。

以下の文章では、昭和・平成あわせて計5カ所の出雲の名水について順にご紹介していきます。

目次

昭和の名水百選

天川の水

読みがな:てんがわのみず。

隠岐(おき)群島は、島根半島の北東約40~60kmの日本海にうかぶ一大群島です。

そのなかの中ノ島の清水寺(せいすいじ)の一角に「天川の水」が湧き出ています。これは奈良時代、僧の行基(ぎょうき)が隠岐をおとずれた時、うっそうとした木陰の洞窟から音を立てて流れている湧水に霊気を感じて、この水を天川(天恵の川)と名づけました。

水量は昔から一定の水量を保っていて、生活用水や農業用水などに利用されています。

地元住民による清掃活動もさかんで、聖域としての水環境を大切に保存しています。

天川の水

種類

湧水

所在地・アクセス

島根県隠岐郡海士町

水質データ

水温 15.5℃
硬度(mg/L) 56.5(軟水)
水素イオン濃度(pH) 6.8
電気伝導度(EC) 235.6
塩化物イオン(Cl 45.0
硝酸イオン(NO3 0.0
硫酸イオン(SO42- 5.6
重炭酸イオン(HCO3 50.0
ナトリウムイオン(Na+ 22.3
カリウムイオン(K+ 2.0
マグネシウムイオン(Mg2+ 5.0
カルシウムイオン(Ca2+ 14.4
二酸化ケイ素(SiO2 38.7

壇鏡の滝湧水

読みがな:だんぎょうのたきゆうすい。

隠岐(おき)群島にある隠岐の島町の横尾山(標高577m)山中に、「壇鏡の滝湧水」が湧き出ています。

この壇鏡神社(だんきょうじんじゃ)付近から流れてきた清水は、高さ約40mの二条の滝として流れおち、渓流にはオオサンショウウオがすんでいます。

この水は、闘牛などの大会に勝つために体を清めたり、山の火入れのときにお守りに使われたり、万病にきく長寿の水として飲まれるなど、島民にあがめられています。

清水は簡易水道、林業・農業用水などと広く利用され、水環境の保全のために毎月清掃活動がおこなわれています。

壇鏡の滝湧水

種類

湧水

所在地・アクセス

島根県隠岐郡隠岐の島町

水質データ

水温 14.5℃
硬度(mg/L) 13.7(軟水)
水素イオン濃度(pH) 6.6
電気伝導度(EC) 106.1
塩化物イオン(Cl 18.7
硝酸イオン(NO3 0.0
硫酸イオン(SO42- 4.3
重炭酸イオン(HCO3 20.1
ナトリウムイオン(Na+ 11.7
カリウムイオン(K+ 4.2
マグネシウムイオン(Mg2+ 1.4
カルシウムイオン(Ca2+ 3.2
二酸化ケイ素(SiO2 45.9

平成の名水百選

浜山湧水群

読みがな:はまやまゆうすいぐん。

「浜山」は出雲市の南北約2.5km、東西約1kmに広がる、標高47mの小さな山です。ここにある島根県立浜山公園は、今でも少し掘ればあちこちから水が湧き出る地で、「浜山湧水群」をなしています。

水の成分としては鉄分はなく、pHは7.3~7.7の中性になっています。飲料水としては出雲保健所管内でもトップの水質をほこり、醤油作りにも使われています。

かつてはこの地は白砂の荒地でした。江戸時代、松の植樹に成功して以来、雨がふらない時でも水がとぎれることがなくなったといいます。そんな由来もあってか、現在も地域住民の清掃活動のほか、公園全域の植樹が毎年実施されています。

浜山湧水群

種類

湧水

所在地・アクセス

島根県出雲市

水質データ

水温 15.8℃
硬度(mg/L) 155.7(硬水)
水素イオン濃度(pH) 7.6
電気伝導度(EC) 380.0
塩化物イオン(Cl 17.0
硝酸イオン(NO3 0.0
硫酸イオン(SO42- 4.6
重炭酸イオン(HCO3 195.2
ナトリウムイオン(Na+ 12.2
カリウムイオン(K+ 1.2
マグネシウムイオン(Mg2+ 2.8
カルシウムイオン(Ca2+ 57.8
二酸化ケイ素(SiO2 11.6

鷹入の滝

読みがな:たかいりのたき。

鳥取県と島根県の県境に位置する鷹入山(たかいりやま)に、高さ10mの「鷹入の滝」という三段の滝があります。

この滝の周辺の河川には、オオサンショウウオがすむ豊かな環境が残されています。また、この滝を源流とする小竹川(おだけがわ)の伏流水は小竹簡易水道の源水として利用され、地元の貴重な水源として保全活動が行われています。

1981年(昭和56年)、未開発の秘境であった「鷹入の滝」を地域活性化につなげようと「鷹入の滝を守る会」が結成され、滝の周辺、遊歩道、川の清掃活動などが行われるようになりました。さらに、1989年(平成元年)から毎年8月13日には、「滝まつり」が開催されるようになりました。

鷹入の滝

名水百選選抜総選挙

秘境として素晴らしい名水部門 第2位

種類

河川

所在地・アクセス

島根県安来市

水質データ

水温 不明
硬度(mg/L) 不明
水素イオン濃度(pH) 不明
電気伝導度(EC) 不明
塩化物イオン(Cl 不明
硝酸イオン(NO3 不明
硫酸イオン(SO42- 不明
重炭酸イオン(HCO3 不明
ナトリウムイオン(Na+ 不明
カリウムイオン(K+ 不明
マグネシウムイオン(Mg2+ 不明
カルシウムイオン(Ca2+ 不明
二酸化ケイ素(SiO2 不明

一本杉の湧水

読みがな:いっぽんすぎのゆうすい。

島根県西部を流れる高津川は、国土交通省の水質調査で2年連続日本一に輝いたことがある清流です。

この川は国内の一級河川のなかで、支流もふくめてダムが一つもない唯一の川です。また、高津川は日本一の清流ともいわれ、アユ漁で人気の川としても知られています。

高津川には、出雲から逃げたヤマタノオロチの魂が吉賀町の田野原地区にそびえる一本杉にやどったことで、そこから水が湧き、川の流れを生みだしたという伝説が残っています。その源泉が、「一本杉の湧水」です。この一本杉は樹齢1,000年以上といわれ、島根県の「名樹百選」にも選ばれています。

一本杉の湧水

種類

湧水

所在地・アクセス

島根県鹿足郡吉賀町

水質データ

水温 13.2℃
硬度(mg/L) 9.6(軟水)
水素イオン濃度(pH) 6.4
電気伝導度(EC) 54.0
塩化物イオン(Cl 4.7
硝酸イオン(NO3 3.1
硫酸イオン(SO42- 1.7
重炭酸イオン(HCO3 14.6
ナトリウムイオン(Na+ 5.7
カリウムイオン(K+ 0.5
マグネシウムイオン(Mg2+ 0.7
カルシウムイオン(Ca2+ 2.7
二酸化ケイ素(SiO2 3.7

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