古来から親しまれた【千葉県の名水】2カ所をご紹介~名水百選より~
関東平野と房総半島がつらなる地、千葉県。
大都市の東京に近い位置にもかかわらず、緑が豊かな自然が数おおく残されてきました。千葉県は日本で唯一500m級の山がない県ですが、房総半島の2カ所からは古くから高く評価されてきた良質な水が湧きでてきました。
今回ご紹介するのは、1つ目が弘法大師が全国の旅の途中に法力を使って出したとされる「熊野の清水(ゆやのしみず)」、2つ目が水源の近くの街が城下町の雰囲気をのこす「生きた水・久留里(くるり)」です。熊野の清水は古くから湯治場(とうじば)としても人々に親しまれ、久留里の水もやはりミネラル、乳酸菌などの成分をふくむとされてきました。
以下の文章では、千葉県の名水について順にご紹介していきます。
目次
昭和の名水百選
熊野の清水
読みがな:ゆやのしみず。
千葉県の中央に位置する長生郡長南町(ちょうせいぐんちょうなんまち)は、かつて安房(あわ、今の千葉県南部)から江戸に通ずる街道の途中にあります。
この街道沿いにある「熊野の清水」は湯治場(とうじば)として栄えた歴史もあり、昔ながらのおもかげが今でも残っています。
古い資料によると、弘法大師が全国を旅している途中にこの地に立ち寄り、水がなく農民が苦労しているのをみて仏法(ぶっぽう)による力により水をだしたとされてきました。そのため、この清水は弘法大師にちなんで「弘法の霊泉(れいせん)」ともいわれ、人々に親しまれました。
いまでもこの水は飲用と農業用水に利用され、地元の人々によって清掃が行われています。
種類
湧水
所在地・アクセス
千葉県長生郡長南町
- 首都圏中央連絡自動車道「市原鶴舞IC」から「熊野の清水」まで車で約14分(10.1km)。
水質データ
水温 | 15.1℃ |
---|---|
硬度(mg/L) | 64.1(中硬水) |
水素イオン濃度(pH) | 6.2 |
電気伝導度(EC) | 208.0 |
塩化物イオン(Cl–) | 7.3 |
硝酸イオン(NO3–) | 16.8 |
硫酸イオン(SO42-) | 18.2 |
重炭酸イオン(HCO3–) | 50.0 |
ナトリウムイオン(Na+) | 8.8 |
カリウムイオン(K+) | 3.8 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 4.8 |
カルシウムイオン(Ca2+) | 17.8 |
二酸化ケイ素(SiO2) | 174.7 |
平成の名水百選
生きた水・久留里
読みがな:いきたみず・くるり。
君津市久留里は、房総半島の中央より南よりにあります。
「生きた水・久留里」は、重要無形民俗文化財にも指定されている「上総掘り(かずさぼり)」という井戸掘り技術によって地下水をふきださせたもので、古くから飲み水や農業用水に使われてきました。
400~600mの深さから湧いているこの水は、清澄や三石山などの山々にふった雨が地層を通って湧き出たものです。そのため、久留里の水は土壌の菌を豊富にふくみ、おいしい名水をもとめて県内各地から井戸におおくの人が訪れてきています。
開放されている井戸は、地元の人々を中心に清掃や水質の検査などがなされています。
種類
地下水
所在地・アクセス
千葉県君津市
- 首都圏中央連絡自動車道「木更津東IC」から「久留里の名水」まで車で約15分(9.8km)。
水質データ
水温 | 13.2℃ |
---|---|
硬度(mg/L) | 112.1(中硬水) |
水素イオン濃度(pH) | 8.0 |
電気伝導度(EC) | 263.0 |
塩化物イオン(Cl–) | 5.7 |
硝酸イオン(NO3–) | 4.1 |
硫酸イオン(SO42-) | 13.0 |
重炭酸イオン(HCO3–) | 122.0 |
ナトリウムイオン(Na+) | 6.6 |
カリウムイオン(K+) | 6.5 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 9.7 |
カルシウムイオン(Ca2+) | 29.3 |
二酸化ケイ素(SiO2) | 不明 |
千葉県の名水百選マップ
- (左側)生きた水・久留里
- (右側)熊野の清水