ミネラルが豊富な【岡山県の名水】4カ所をご紹介~名水百選より~
マスカットや白桃などのくだもので有名な地、岡山県。
中国地方の山々と、瀬戸内海(せとないかい)に面した自然ゆたかな土地から、栄養価の高い水が今日までこんこんと湧きだしてきました。
今回ご紹介するのは、めずらしい貝や藻がそだつ冷えた名水「塩釜の冷泉(しおがまのれいせん)」、岡山藩主の御用水で使われるなど古くから親しまれた「雄町の冷泉(おまちのれいせん)」、美や子宝にめぐまれた健康の水としてしられる「岩井(いわい)」、ミネラルをたっぷり含んだ極上の水「夏日の極上水(なつひのごくじょうすい)」の4つです。
以下の文章では、昭和・平成あわせて計4カ所の岡山県の名水について順にご紹介していきます。
目次
昭和の名水百選
塩釜の冷泉
読みがな:しおがまのれいせん。
真庭市(まにわし)は岡山県北部に位置し、鳥取県との境を接しています。「塩釜の冷泉」は中蒜山(なかひるぜん)のふもとの谷間から湧き出ています。
水温は年平均10℃前後とつめたいです。池の中にはふたのない「モノアラカイ」という巻貝や、寒い地に育つ「アツシキノリ」や「ネンジュノリ」のような藻類(そうるい)も生息しています。
水は、村内の約600世帯によって生活用水として利用されています。また、蒜山教育事務組合が天然記念物に指定し、地元の塩釜奉賛会(しおがまほうさんかい)によって水が管理されています。
名水百選選抜総選挙
観光地として素晴らしい名水部門 第2位
種類
湧水
所在地・アクセス
岡山県真庭市
- 米子自動車道「蒜山IC」から「塩釜の冷泉」まで車で約12分(8.4km)。
水質データ
水温 | 10.5℃ |
---|---|
硬度(mg/L) | 17.4(軟水) |
水素イオン濃度(pH) | 7.1 |
電気伝導度(EC) | 72 |
塩化物イオン(Cl–) | 3.9 |
硝酸イオン(NO3–) | 0.0 |
硫酸イオン(SO42-) | 0.8 |
重炭酸イオン(HCO3–) | 26.2 |
ナトリウムイオン(Na+) | 5.2 |
カリウムイオン(K+) | 0.9 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 1.5 |
カルシウムイオン(Ca2+) | 4.5 |
二酸化ケイ素(SiO2) | 28.2 |
雄町の冷泉
読みがな:おまちのれいせん。
岡山市内にある「雄町の冷泉」は「御前点前(ごぜんてまえ)の井戸」ともいわれ、江戸時代には岡山藩主池田氏の御用水としても利用されていました。この水は、市内に上水道がひかれるまでは市内に配水されていました。
この泉は、市内を流れる旭川の多量の伏流水が流れこんでできているものです。この旭川の形成する扇状地(せんじょうち)の端に位置する雄町では、この伏流水が地表にふき出ています。
環境保全については地元の雄町の冷泉保存会が清掃などの管理を行っており、毎年7月下旬には水神様の祭礼が催されています。
種類
湧水
所在地・アクセス
岡山県岡山市
- 山陽自動車道「岡山IC」から「雄町の冷泉」まで車で約20分(10.9km)。
水質データ
水温 | 16.0℃ |
---|---|
硬度(mg/L) | 56.0(軟水) |
水素イオン濃度(pH) | 6.0 |
電気伝導度(EC) | 168.3 |
塩化物イオン(Cl–) | 10.6 |
硝酸イオン(NO3–) | 3.6 |
硫酸イオン(SO42-) | 16.3 |
重炭酸イオン(HCO3–) | 52.4 |
ナトリウムイオン(Na+) | 9.3 |
カリウムイオン(K+) | 1.2 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 5.0 |
カルシウムイオン(Ca2+) | 14.2 |
二酸化ケイ素(SiO2) | 22.6 |
岩井
読みがな:いわい。
苫田郡鏡野町(とまたぐんかがみのちょう)は岡山県の最北部にあり、鳥取県と境を接しています。「岩井」のある場所は町の北側の山岳地帯にあり、この岩井の上流100m奥には「岩井の滝」があります。
岩井の名は、どんな天候の時でもかわらぬ水量で岩の下からしみだして流れていたため、その名がつけられたと言われてきました。
また、岩井の水は美と健康、子宝にめぐまれる水として語りつがれています。そのため、岩井滝不動を訪れる人々が必ず足を止めて口をすすぎ、心を清めてのぼっていくしきたりがあります。
岩井および滝の周辺には遊歩道が整備されており、村が保全に力を入れています。
種類
湧水
所在地・アクセス
岡山県苫田郡鏡野町
- 中国自動車道「院庄IC」から「岩井」まで車で約63分(39.0km)。
水質データ
水温 | 10.4℃ |
---|---|
硬度(mg/L) | 12.4(軟水) |
水素イオン濃度(pH) | 6.6 |
電気伝導度(EC) | 50.1 |
塩化物イオン(Cl–) | 6.0 |
硝酸イオン(NO3–) | 0.4 |
硫酸イオン(SO42-) | 1.1 |
重炭酸イオン(HCO3–) | 17.6 |
ナトリウムイオン(Na+) | 4.5 |
カリウムイオン(K+) | 0.9 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 1.4 |
カルシウムイオン(Ca2+) | 2.7 |
二酸化ケイ素(SiO2) | 18.6 |
平成の名水百選
夏日の極上水
読みがな:なつひのごくじょうすい。
岡山県北西部にある大佐山(おおさやま)のふもとに、「夏日の極上水」が湧いています。
大佐山は備作山地(びさくさんち)県立自然公園の一部で豊かな自然がのこる山です。ここに降った雨や雪が地中にしみこみ、カルシウムなどのミネラルが豊富な水となって湧き出しています。湧水は地滑り対策のための工事をきっかけに発見されました。
市道ぞいには水くみ場が設置されており、市の内外から多くの人が清水をくみに訪れます。まわりには休憩所も整備され、地元産の野菜も販売されています。「極上水」という名は「ミネラル豊富でおいしい極上の水」ということでつけられています。
種類
湧水
所在地・アクセス
岡山県新見市
- 米子自動車道「久世IC」から「夏日の極上水」まで車で約57分(35.3km)。
水質データ
水温 | 15.6℃ |
---|---|
硬度(mg/L) | 37.2(硬水) |
水素イオン濃度(pH) | 8.1 |
電気伝導度(EC) | 101.8 |
塩化物イオン(Cl–) | 4.7 |
硝酸イオン(NO3–) | 0.4 |
硫酸イオン(SO42-) | 2.4 |
重炭酸イオン(HCO3–) | 45.1 |
ナトリウムイオン(Na+) | 3.7 |
カリウムイオン(K+) | 0.3 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 1.6 |
カルシウムイオン(Ca2+) | 12.4 |
二酸化ケイ素(SiO2) | 不明 |
岡山県の名水百選マップ
- (上側1番左)夏日の極上水
- (上側左から2番目)塩釜の冷泉
- (上側1番右)岩井
- (下側)雄町の冷泉