古都の地に湧いた【京都府の名水】5カ所をご紹介~名水百選より~

古都の地に湧いた【京都府の名水】5カ所をご紹介~名水百選より~

いにしえの日本の政治・文化の中心地、京都府。

現在でも多くの人々がおとずれる日本の有数の景勝地に、すぐれた名水がたえることなく湧きだしてきました。

今回ご紹介するのは、香りがよく病にもよいといわれた「伏見の御香水(ふしみのごこうすい)」、日本三景の天の橋立に象徴される名水「磯清水(いそしみず)」、古くから人々の日常生活をささえてきた「大杉の清水(おおすぎのしみず)」、日本最古とされる上水道の水源にもなっている「真名井の清水(まないのしみず)」、昔から数々の和歌によまれてきた「玉川」の5つです。

以下の文章では、昭和・平成あわせて計5カ所の京都府の名水についてご紹介していきます。

目次

昭和の名水百選

伏見の御香水

読みがな:ふしみのごこうすい。

「伏見の御香水」は京都市内にあり、伏見桃山城(ふしみももやまじょう)のすぐ近くにあります。

昔、諸国をめぐってきた猿曳(さるひき)がやっとのことでここにたどり着いた時、肩に乗っていた猿に本湧水を飲ませるとたちまち元気になったといわれています。

「御香」の由来は、御諸神社(みむろじんじゃ)の境内に大変良いかおりのする水が流れており、それを飲むとどんな病気でもなおるといつしか言われるようになりました。それで、「御諸神社」の「御」と「良い香」の「香」をとって「御香宮神社(ごこうぐうじんじゃ)」と呼ばれるようになりました。

現在でも、茶道、書道などに使うために水を持ちかえる人が多くいます。

伏見の御香水

種類

地下水

所在地・アクセス

京都府京都市

水質データ

水温 19.0℃
硬度(mg/L) 37.4(軟水)
水素イオン濃度(pH) 6.9
電気伝導度(EC) 146.1
塩化物イオン(Cl 4.0
硝酸イオン(NO3 0.9
硫酸イオン(SO42- 20.7
重炭酸イオン(HCO3 50.0
ナトリウムイオン(Na+ 11.6
カリウムイオン(K+ 2.6
マグネシウムイオン(Mg2+ 3.7
カルシウムイオン(Ca2+ 8.9
二酸化ケイ素(SiO2 49.0

磯清水

読みがな:いそしみず。

「磯清水」は京都府北部に位置し、日本三景(松島、天の橋立、厳島)の一つ、まわりが海に囲まれた「天の橋立」の中にあります。

本湧水は、「こんなに海に近いのになぜ清水がこんこんと湧くのか」と昔の人からも不思議がられ、平安時代から歌や詩にたたえられてきました。和泉式部(いずみしきぶ)が「橋立の松の下なる磯清水都なりせば君も汲ままし」と都の友にうたって贈った歌は有名です。

江戸時代初期、宮津城主として名君といわれた永井尚長は「磯清水」の由来をおしみ、ながく後世に伝えるべく碑石(ひせき)をたてました。しかし、この磯清水の碑はいつの日が失われて今はなく、井戸の湧水のみがたえることなく湧きつづけています。

磯清水

種類

地下水

所在地・アクセス

京都府宮津市

水質データ

水温 19.8℃
硬度(mg/L) 39.5(軟水)
水素イオン濃度(pH) 6.4
電気伝導度(EC) 152.1
塩化物イオン(Cl 19.0
硝酸イオン(NO3 3.8
硫酸イオン(SO42- 8.0
重炭酸イオン(HCO3 35.3
ナトリウムイオン(Na+ 10.5
カリウムイオン(K+ 1.5
マグネシウムイオン(Mg2+ 3.6
カルシウムイオン(Ca2+ 9.9
二酸化ケイ素(SiO2 14.4

平成の名水百選

大杉の清水

読みがな:おおすぎのしみず。

「大杉の清水」は若狭湾国定公園(わかさわんこくていこうえん)内に位置し、水源の周りでわさびが栽培されるなど豊かな自然環境にめぐまれています。

湧水は地区の全区にいきわたり、生活用水として利用され、一部は水田への灌漑(かんがい)用水としても利用されています。

また、集会所前には湧水の水くみ場がもうけられ、多数の利用者へも提供されています。水源の大杉神社には樹齢800年を超える大杉があり、「その昔、大蛇が下りてきてこの清水を飲むと不思議な力が発揮され、3本の杉を巻き締め一本の大杉にした」という伝説にあやかり、夏には湧水に感謝する大杉祭がおこなわれてきました。それは、現在でも納涼祭として受けつがれています。

大杉の清水

名水百選選抜総選挙

景観が素晴らしい名水部門 第2位

種類

湧水

所在地・アクセス

京都府舞鶴市

水質データ

水温 16.4℃
硬度(mg/L) 40.6(軟水)
水素イオン濃度(pH) 7.8
電気伝導度(EC) 106.5
塩化物イオン(Cl 11.1
硝酸イオン(NO3 4.5
硫酸イオン(SO42- 2.5
重炭酸イオン(HCO3 45.8
ナトリウムイオン(Na+ 6.6
カリウムイオン(K+ 0.7
マグネシウムイオン(Mg2+ 3.0
カルシウムイオン(Ca2+ 11.5
二酸化ケイ素(SiO2 不明

真名井の清水

読みがな:まないのしみず。

舞鶴市(まいづるし)にある「真名井の清水」は、「白雲山(はくうんざん)から三本の矢が射られ、落下したところから清水が湧いた」という伝説が残っています。

遊水池(ゆうすいち)とその水路に、魚やカメなどの動物をはじめヤマトミクリやコカナダモ、エビモなどの水生植物が自生しています。これらの水生植物は水をきれいにしたり、酸素を供給する役割をになっており、清水の生態系を形づくっています。

湧水は一帯に地下水としても存在しており、各家庭では井戸がほられ、生活用水や灌漑(かんがい)用水に利用されています。

真名井の清水

種類

湧水

所在地・アクセス

京都府舞鶴市

水質データ

水温 22.6℃
硬度(mg/L) 51.8(軟水)
水素イオン濃度(pH) 7.1
電気伝導度(EC) 162.9
塩化物イオン(Cl 15.8
硝酸イオン(NO3 2.6
硫酸イオン(SO42- 9.8
重炭酸イオン(HCO3 53.4
ナトリウムイオン(Na+ 7.5
カリウムイオン(K+ 1.3
マグネシウムイオン(Mg2+ 4.8
カルシウムイオン(Ca2+ 13.1
二酸化ケイ素(SiO2 不明

玉川

読みがな:たまがわ。

「玉川」は綴喜郡井出町(つづきぐんいでちょう)にあり、木津川の支流に位置しています。

平安時代中期以降、玉川は「山吹の井手の玉川」として350首以上の和歌によまれ、版画や襖絵(ふすまえ)などに書かれていました。

かつてはヤマブキの名所で、あざやかな黄色い花が咲きみだれる春の川に、すずやかな水音が響きわたるという、まるで日本画をみるような美しさを放っていました。現在ではヤマブキに加え、約500本のソメイヨシノが咲く桜の名所でもあり、4月の「さくらまつり」期間中は、約5万人の花見客でにぎわうといいます。

また、玉川ととともによく和歌に登場するのがカエルで、井出をよんだもののうちカエルに関するものは83首におよびます。玉水駅ちかくには「蛙塚」という小さな石碑も立っています。

玉川

種類

河川

所在地・アクセス

京都府綴喜郡井出町

水質データ

水温 21.5℃
硬度(mg/L) 76.0(中硬水)
水素イオン濃度(pH) 8.6
電気伝導度(EC) 185.5
塩化物イオン(Cl 5.0
硝酸イオン(NO3 0.2
硫酸イオン(SO42- 32.1
重炭酸イオン(HCO3 65.9
ナトリウムイオン(Na+ 6.5
カリウムイオン(K+ 2.4
マグネシウムイオン(Mg2+ 4.0
カルシウムイオン(Ca2+ 24.0
二酸化ケイ素(SiO2 不明

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