山水が美しい地の【福井県の名水】6カ所をご紹介~名水百選より~

山水が美しい地の【福井県の名水】6カ所をご紹介~名水百選より~

「越山若水(えつざんじゃくすい)」の言葉でしられる、福井県。

越山若水とは越前(えちぜん)の緑豊かな山々と若狭(わかさ)の清らかな水の流れのことをさしています。

今回ご紹介するのは、瓜が割れるほどつめたいといわれた「瓜割の滝(うりわりのたき)」、湧水の多い大野市でもっとも人々の生活に密着している「御清水(おしょうず)」、奈良東大寺二月堂へ水を送る神事で有名な「鵜の瀬(うのせ)」、海の近くにありながら塩分を含まない「雲城水(うんじょうすい)」、北陸の小京都に湧きイトヨが泳ぐ「本願清水(ほんがんじょうず)」、宿場町の景色に涼やかな水音と風を運ぶ「熊川宿前川(くまかわじゅくまえがわ)」の6つです。

以下の文章では、福井県がうみ出した計6カ所の名水についてご紹介していきます。

目次

昭和の名水百選

瓜割の滝

読みがな:うりわりのたき。

「瓜割の滝」は、一級河川である北川の下流域にあります。

昔からどんなに雨がふらなくても湧き水がたえなかったと言われ、今でもこんこんと水が湧き出ています。この水はとても冷たく、あるとき瓜(うり)を冷やしたら割れたという話があるほどです。

また、この水がスギやヒノキのうっそうとした森の中にあることから、別名「水の森」ともよばれています。この湧き水のなかの石は、なぜかすべてあざやかな赤色にそまっていますが、その原因は、紅藻類(こうそうるい)の一種である「ヒルテンブリチアリブラス」という植物が石につき、増えるからだと言われています。

この水はおもに生活用水として利用されており、地域住民が組合をつくって管理しています。

瓜割の滝

名水百選選抜総選挙

おいしさが素晴らしい名水部門 2位
観光地として素晴らしい名水部門 エントリー

種類

湧水

所在地・アクセス

福井県三方上中郡若狭町

水質データ

水温 12.4℃
硬度(mg/L) 46.9(軟水)
水素イオン濃度(pH) 7.4
電気伝導度(EC) 118.4
塩化物イオン(Cl 7.5
硝酸イオン(NO3 1.1
硫酸イオン(SO42- 1.7
重炭酸イオン(HCO3 52.4
ナトリウムイオン(Na+ 3.3
カリウムイオン(K+ 0.2
マグネシウムイオン(Mg2+ 4.0
カルシウムイオン(Ca2+ 12.2
二酸化ケイ素(SiO2 89.7

通販で購入できるおすすめ品

わかさ 瓜割の水

東京・四谷のフランス料理店オテル・ドゥ・ミクニの三國清三オーナーシェフが、「瓜割の水は味に丸みがあり、後味が爽やか」と絶賛。さらに、京都生八つ橋(おたべの生地)に使われているお水は、わかさ瓜割の水です。

採水地が、名水百選選抜総選挙で「おいしさが素晴らしい名水部門 第2位」だからこそ、名店から信頼を受けている証です。

お清水

読みがな:おしょうず。

「お清水」は九頭竜川(くずりゅうがわ)の中流にあり、ちかくには白山国立公園や永平寺(えいへいじ)などがあります。地元の人々は、地下水が湧き出るところを「お清水」とよんできました。

町のまわりを取りかこむ1,000m級の山々から流れでる多くの川が扇状地(せんじょうち)という地形をつくったので、川の水がいったん地下にもぐり、扇状地の末端で湧き出しています。これを「清水」といいます。

夏は冷たく冬は冷たいお清水は、今も市民の共同洗い場として利用されるほか、市民の社交の場にもなっています。真夏にはスイカやお茶が冷やしてあるなど庶民的な光景も見られます。

お清水

名水百選選抜総選挙

観光地として素晴らしい名水部門 エントリー

種類

湧水

所在地・アクセス

福井県大野市

水質データ

水温 14.6℃
硬度(mg/L) 47.6(軟水)
水素イオン濃度(pH) 6.0
電気伝導度(EC) 152.6
塩化物イオン(Cl 6.8
硝酸イオン(NO3 10.8
硫酸イオン(SO42- 9.3
重炭酸イオン(HCO3 39.6
ナトリウムイオン(Na+ 5.9
カリウムイオン(K+ 1.9
マグネシウムイオン(Mg2+ 2.9
カルシウムイオン(Ca2+ 14.3
二酸化ケイ素(SiO2 106.8

鵜の瀬

読みがな:うのせ。

「鵜の瀬」は遠敷川(おにゅうがわ)の中流域にあり、清く澄んだ川です。

「東大寺要録(とうだいじようろく)」という資料によると、奈良時代、実忠和尚(じっちゅうおしょう)が東大寺で人々を集めて説法する行事をおこなった時、若狭国(わかさのくに・現在の福井県)の遠敷明神(おにゅうみょうじん)がおくれて参加したそうです。遠敷明神はおくれたおわびに、観音様にそなえる水をたてまつると申しでました。するとたちまち黒と白のそれぞれ二羽の鵜(う)が岩をくだいて地面の中からとび出し、その跡から水が湧きだすと、あたりは香水にみちあふれました。

この鵜をはなった場所が川の瀬であったことから「鵜の瀬」とよばれるようになったそうです。

鵜の瀬

種類

河川

所在地・アクセス

福井県小浜市

水質データ

水温 20.0℃
硬度(mg/L) 38.7(軟水)
水素イオン濃度(pH) 7.0
電気伝導度(EC) 107.2
塩化物イオン(Cl 7.1
硝酸イオン(NO3 0.9
硫酸イオン(SO42- 3.8
重炭酸イオン(HCO3 42.8
ナトリウムイオン(Na+ 4.4
カリウムイオン(K+ 0.4
マグネシウムイオン(Mg2+ 2.5
カルシウムイオン(Ca2+ 11.4
二酸化ケイ素(SiO2 81.6

平成の名水百選

雲城水

読みがな:うんじょうすい。

小浜市一番町は、むかしは地下水が自然と地上にふき出る井戸がたくさんの家にあったとされている地域です。「雲城水」は海のすぐそばにありながら塩分をふくまない水質で、滋賀県境あたりから地下を百年近くかけて流れてくるとされてきました。

近年、地元の団体が産業と連携して、雲城水を利用してとうふ、そば、日本酒などの商品を開発しています。いずれもこの水が百年かかって湧き出ると伝えられていることから、「百伝う(ももつたふ)」と命名されています。

また、若狭地方特産の葛(くず)で作られた葛まんじゅうは、この水でひやされ、夏の風物詩として定着しています。小浜市が古代の朝廷(ちょうてい)に食材を提供する地域であったことも、この豊かな水があるからだと考えられています。

雲城水

種類

地下水

所在地・アクセス

福井県小浜市

水質データ

水温 14.9℃
硬度(mg/L) 39.4(軟水)
水素イオン濃度(pH) 6.6
電気伝導度(EC) 117.2
塩化物イオン(Cl 8.6
硝酸イオン(NO3 1.1
硫酸イオン(SO42- 4.1
重炭酸イオン(HCO3 46.3
ナトリウムイオン(Na+ 5.5
カリウムイオン(K+ 0.7
マグネシウムイオン(Mg2+ 5.1
カルシウムイオン(Ca2+ 7.6
二酸化ケイ素(SiO2 10.3

本願清水

読みがな:ほんがんしょうず。

室町時代後期、越前国大野(えちぜんのくにおおの)を治めることとなった金森長近(かなもりながちか)が亀山に大野城を築きました。

それと同時に、京都ににている碁盤目(ごばんめ)のような城下町をつくった時、民衆の飲み水として湧き水を整備した際にできた一つが「本願清水」です。

本清水は今日では市内最大の湧水池としてしられ、陸封型(りくふうがた)イトヨの生息の南限とされています。そのため、池のわきには水の中からイトヨの観察ができる学習施設「本願清水イトヨの里」が整備され、環境学習の拠点になっています。

本願清水

種類

湧水

所在地・アクセス

福井県大野市

水質データ

水温 14.2℃
硬度(mg/L) 49.7(軟水)
水素イオン濃度(pH) 6.0
電気伝導度(EC) 115.0
塩化物イオン(Cl 6.3
硝酸イオン(NO3 不明
硫酸イオン(SO42- 5.9
重炭酸イオン(HCO3 53.1
ナトリウムイオン(Na+ 4.9
カリウムイオン(K+ 0.7
マグネシウムイオン(Mg2+ 3.8
カルシウムイオン(Ca2+ 13.8
二酸化ケイ素(SiO2 22.5

熊川宿前川

読みがな:くまがわじゅくまえがわ。

「前川」は、昔の宿場であった「熊川宿」の街道にそって流れる用水路です。この川は、その流水の音とともに熊川宿の歴史的景観に欠かせないものになっています。

かつては人や馬の飲み水として、または生活用水として利用されてきました。近年でも、昔ながらに水流を使ってイモの皮をむく「イモ車」や水利施設(すいりしせつ)である「かわと」が設けられています。

このことは、前川が現在の人々の暮らしに欠かせないことと、古くから変わらない美しい水質と豊富な水量が保たれていることを物語っています。

熊川宿前川

種類

用水

所在地・アクセス

福井県三方上中郡若狭町

水質データ

水温 19.3℃
硬度(mg/L) 40.7(軟水)
水素イオン濃度(pH) 8.0
電気伝導度(EC) 104.9
塩化物イオン(Cl 6.2
硝酸イオン(NO3 4.4
硫酸イオン(SO42- 4.1
重炭酸イオン(HCO3 43.3
ナトリウムイオン(Na+ 4.0
カリウムイオン(K+ 0.5
マグネシウムイオン(Mg2+ 2.7
カルシウムイオン(Ca2+ 12.0
二酸化ケイ素(SiO2 不明

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