生活用水に不可欠な【愛媛県の名水】4カ所をご紹介~名水百選より~
瀬戸内海と宇和海に面する地、愛媛県。
この県はみかんの特産地としても知られ、道後温泉(どうごおんせん)などの観光地は全国的にも有名です。ここは四国山地などの自然にもめぐまれ、良質な水が今日まで湧き出てきました。
今回ご紹介するのは、地下水が地上にいさましくふきでると言われる「うちぬき」、弘法大師が老婆へのお礼に地面に杖をさしてわいたとされる「杖の淵(じょうのふち)」、鍾乳洞からわきアマゴの養殖にも利用される「観音水(かんのんすい)」、神聖な泉として多くの人の信仰をあつめてきた「つづら淵(つづらふち)」の4つです。
以下の文章では、昭和・平成あわせて計4カ所の特徴ある愛媛県の名水について順にご紹介していきます。
目次
昭和の名水百選
うちぬき
西条市(さいじょうし)内には、地下水が地上にふきでる井戸が広範囲にあります。これらは「うちぬき」とよばれており、明治時代まではこの地方特有の「打抜き音頭」とともに勇ましくうちぬいていたといいます。
この自噴水は、石鎚山(いしづちさん)系に源を発する加茂川から地中にしみこみ、西条平野にふきでる水量はとても豊富だとされています。
四季を通じて水温に変化のないこの水は市民の生活用水、農業用水、工業用水などに利用されています。したがって、西条市民の水の需要は大半がこの地下水にたよっていて、「うちぬき」の果たす役割は大きいです。
種類
自噴水
所在地・アクセス
愛媛県西条市
- 松山自動車道「いよ西条IC」から「うちぬき」まで車で約12分(6.5km)。
水質データ
水温 | 13.8℃ |
---|---|
硬度(mg/L) | 21.5(軟水) |
水素イオン濃度(pH) | 7.0 |
電気伝導度(EC) | 94.0 |
塩化物イオン(Cl–) | 2.6 |
硝酸イオン(NO3–) | 2.1 |
硫酸イオン(SO42-) | 8.3 |
重炭酸イオン(HCO3–) | 32.9 |
ナトリウムイオン(Na+) | 9.6 |
カリウムイオン(K+) | 1.8 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 2.7 |
カルシウムイオン(Ca2+) | 4.2 |
二酸化ケイ素(SiO2) | 9.8 |
杖の淵
読みがな:じょうのふち。
県庁所在地の松山市、西林寺の南西約200mのところに「杖の淵」という湧水があります。
昔、弘法太師(こうぼうだいし)が干ばつがひどいこの地方にめぐってきたときに、水を飲ませてくれた老婆へのお礼にと、杖を地面につきさして水をひらいたという伝説があります。
現在では湧水の水量は豊富で、水田をうるおし、周辺は児童公園やゲートボール場が設置されていて、地域住民のいこいの場になっています。また、泉周辺にはテイレギというアブラナ科の植物が自生していて、正岡子規や高浜虚子(たかはまきょし)も句にのこしています。
種類
湧水
所在地・アクセス
愛媛県松山市
- 松山自動車道「松山IC」から「杖の淵」まで車で約12分(4.2km)。
水質データ
水温 | 18.5℃ |
---|---|
硬度(mg/L) | 81.0(中硬水) |
水素イオン濃度(pH) | 6.3 |
電気伝導度(EC) | 212.0 |
塩化物イオン(Cl–) | 9.2 |
硝酸イオン(NO3–) | 11.2 |
硫酸イオン(SO42-) | 34.8 |
重炭酸イオン(HCO3–) | 53.6 |
ナトリウムイオン(Na+) | 8.8 |
カリウムイオン(K+) | 2.3 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 3.6 |
カルシウムイオン(Ca2+) | 26.5 |
二酸化ケイ素(SiO2) | 16.5 |
観音水
読みがな:かんのんすい。
愛媛県西部の西予市(せいよし)にある「観音水」は、鍾乳洞からの湧水であり、肱川(ひじがわ)の源流となっています。
宇和川から2kmほど沢ぞいの道を行き、さらに急な坂の小道を200mほどのぼりつめると、うっそうとした林の中にぽっかりと口をあけ、そこからとうとうと流れる洞窟があります。これが観音水です。
この水は水温、水量、水質の変化が小さく、一部は水道水に使われていて、アマゴの養殖にも利用されています。
保全については、地元の住民が清掃を行っていて、大切に保全されています。
種類
湧水
所在地・アクセス
愛媛県西予市
- 松山自動車道「西予宇和IC」から「観音水」まで車で約31分(8.3km)。
水質データ
水温 | 14.7℃ |
---|---|
硬度(mg/L) | 69.9(中硬水) |
水素イオン濃度(pH) | 7.4 |
電気伝導度(EC) | 148.0 |
塩化物イオン(Cl–) | 3.7 |
硝酸イオン(NO3–) | 0.2 |
硫酸イオン(SO42-) | 2.4 |
重炭酸イオン(HCO3–) | 81.7 |
ナトリウムイオン(Na+) | 2.6 |
カリウムイオン(K+) | 0.4 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 1.2 |
カルシウムイオン(Ca2+) | 26.0 |
二酸化ケイ素(SiO2) | 9.7 |
平成の名水百選
つづら淵
読みがな:つづらふち。
「つづら淵」は、新居浜市(にいはまし)の市街地に位置しています。この地で昔から清水が湧いていましたが、現在ではポンプで地下水をくみあげているため、天候の影響を受けにくく、年間を通して水量はほぼ一定で、水質も良好です。
このことから、この地にペットボトルやポリタンクなどで水を持ちかえる市民の姿が多くみられるなど、新居浜市のオアシス的な存在として広く親しまれています。
また、現在では地元の自治会が中心となって、除草、清掃、樹木の選定やポンプの維持・管理などを行って、環境保全活動につとめています。
種類
湧水
所在地・アクセス
愛媛県新居浜市
- 松山自動車道「新居浜IC」から「つづら淵」まで車で約19分(7.8km)。
水質データ
水温 | 19.3℃ |
---|---|
硬度(mg/L) | 58.1(軟水) |
水素イオン濃度(pH) | 6.5 |
電気伝導度(EC) | 183.9 |
塩化物イオン(Cl–) | 7.2 |
硝酸イオン(NO3–) | 9.8 |
硫酸イオン(SO42-) | 21.5 |
重炭酸イオン(HCO3–) | 42.1 |
ナトリウムイオン(Na+) | 6.2 |
カリウムイオン(K+) | 1.5 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 3.2 |
カルシウムイオン(Ca2+) | 18.1 |
二酸化ケイ素(SiO2) | 不明/td> |
愛媛県の名水百選マップ
- (1番左)観音水
- (左から2番目)杖の淵
- (左から3番目)うちぬき
- (1番右)つづら淵