大和の山々が生んだ【奈良県の名水】3カ所をご紹介~名水百選より~
大和のけわしい山々にかこまれた地、奈良県。
飛鳥時代や奈良時代の古都として知られ、法隆寺や東大寺などの見物を目的に、世界各地から多くの観光客が訪れている地域です。ただ、以下ご紹介する3カ所は、そうした文化財が豊富な奈良市内から離れた場所に位置しています。
今回は、古くから住民とのかかわりが強いといわれる「洞川湧水群(どろがわゆうすいぐん)」、黄金にかがやくススキ野原にわく「曽爾高原湧水群(そにこうげんわきみずぐん)」、7つの滝が優雅にながれ落ちる「七滝八壷(ななたきやつぼ)」の3カ所です。
以下の文章では、奈良県のすばらしい名水について順に説明していきます。
目次
昭和の名水百選
洞川湧水群
読みがな:どろがわゆうすいぐん。
「洞川湧水群」は奈良県の中央部に位置し、一級河川新宮川(熊野川)の最上流部にあります。
本湧水のある天川村洞川(てんかわむらどろかわ)は大峰山の登山口で、古くから水が美しいところとして知られています。住民はつねに水に接し、水をながめて生活しているため、水にたいしては強い親近感を持っています。
当地が吉野・熊野国立公園に編入されたのは、1965年(昭和40年)2月25日です。同公園洞川自然研究路が開設された時のキャッチフレーズは「緑と水の河川自然研究路」であり、水の美しさが強調されています。
この美しい湧水の中に、「泉の森」、「ゴロゴロ水」、「神泉洞」があります。
種類
湧水
所在地・アクセス
奈良県吉野郡天川村
- 大和高田バイパス「新堂ランプ」から「ごろごろ水」まで車で約1時間6分(47.0km)。
水質データ
水温 | 11.5℃ |
---|---|
硬度(mg/L) | 54.2(軟水) |
水素イオン濃度(pH) | 6.8 |
電気伝導度(EC) | 138.0 |
塩化物イオン(Cl–) | 2.2 |
硝酸イオン(NO3–) | 1.1 |
硫酸イオン(SO42-) | 2.1 |
重炭酸イオン(HCO3–) | 61.4 |
ナトリウムイオン(Na+) | 2.4 |
カリウムイオン(K+) | 1.8 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 0.8 |
カルシウムイオン(Ca2+) | 20.4 |
二酸化ケイ素(SiO2) | 10.9 |
通販で購入できるおすすめ品
湧活水
霊峰大峰山から1000年の歴史を経て湧き出た水をボトリング。
世界遺産大峰奥駈道(おおみねおくがけみち)に位置する洞川湧水群・神泉洞から採水されました。
環境省認定の名水百選の水です。
- メーカー:株式会社ユー
容量:2000ml
硬度:34(軟水)
ごろごろ水
ごろごろ水は、世界遺産に登録された奈良県大峯山の直下「五代松鍾乳洞(ごよまつしょうにゅうどう)」より湧出するミネラルウォーターです。
吉野熊野国立公園にも位置するこの地域は広大なカルスト台地で、石灰岩を自然のフィルターとして永年ろ過された水は、カルシウムを程よく含むpH値8.2のアルカリ自然水として生まれかわりました。
ミネラルも豊富で、全国最上級の甘みを誇ります。
- メーカー:株式会社名水の里
容量:500ml・2000ml
品名:ナチュラルミネラルウォーター
原材料名:鉱泉水
硬度:89.5(中硬水)※価格は各ショッピングモール先でご確認ください
平成の名水百選
曽爾高原湧水群
読みがな:そにこうげんわきみずぐん。
曽爾高原(そにこうげん)は倶留尊(くろそ)山と亀山にまたがる高原です。
高原の中央・亀山の中腹にあるひょうたん型の「お亀池」を中心に、高原一帯に散らばるように「曽爾高原湧水群」があります。水量が豊富なため、地区全体の生活用水、農業用水にも利用されているほか、最近では「曽爾高原ビール」という地ビールの醸造にも活用されています。
池周囲にはカヤツリグサ科のサギスゲの群生地があり、6月になると白い小さな花が咲きほこるなど、湧水は多くの湿地植物をはぐくむ源でもあります。
亀山の秋をいろどるのは、陽をあびた穂が黄金にかがやき、風にきらめく一面のススキです。夜、「曽爾高原山灯り」と題して、お亀池一帯が灯籠(とうろう)の明かりで浮かびあがる様子もまた幻想的です。
種類
湧水
所在地・アクセス
奈良県宇陀郡曽爾村
- 伊勢自動車道「勢和多気IC」から「曽爾高原」まで車で約1時間22分(59.9km)。
水質データ
水温 | 13.0℃ |
---|---|
硬度(mg/L) | 5.1(軟水) |
水素イオン濃度(pH) | 6.9 |
電気伝導度(EC) | 33.5 |
塩化物イオン(Cl–) | 1.4 |
硝酸イオン(NO3–) | 0.3 |
硫酸イオン(SO42-) | 0.7 |
重炭酸イオン(HCO3–) | 14.3 |
ナトリウムイオン(Na+) | 3.8 |
カリウムイオン(K+) | 1.4 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 0.3 |
カルシウムイオン(Ca2+) | 1.6 |
二酸化ケイ素(SiO2) | 不明 |
七滝八壷
読みがな:ななたきやつぼ。
「七滝八壺」は、吉野郡東吉野村を流れる大又川(おおまたがわ)に流れ落ちている七つの滝のことです。
7段階に流れおちるため、本来なら「七滝七壺」となるところですが、「七転び八起き」にかけて「七滝八壺」と名づけられたとされています。7つすべてを同時にながめることはできませんが、いくつもの滝が真っ白なしぶきをあげて連なるさまは美しく優雅です。このように、村内には豊富な水の流れをつくり出す滝が散らばるように存在しています。
また、周囲の一帯は吉野杉の人工林にかこまれており、カモシカ、ニホンザルなどの野生生物が生息しています。
種類
河川
所在地・アクセス
奈良県吉野郡東吉野村
- 伊勢自動車道「勢和多気IC」から「七滝八壺」まで車で約1時間40分(78.8km)。
水質データ
水温 | 17.8℃ |
---|---|
硬度(mg/L) | 25.2(軟水) |
水素イオン濃度(pH) | 7.9 |
電気伝導度(EC) | 63.0 |
塩化物イオン(Cl–) | 2.2 |
硝酸イオン(NO3–) | 1.8 |
硫酸イオン(SO42-) | 3.8 |
重炭酸イオン(HCO3–) | 29.0 |
ナトリウムイオン(Na+) | 3.7 |
カリウムイオン(K+) | 0.2 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 1.1 |
カルシウムイオン(Ca2+) | 8.3 |
二酸化ケイ素(SiO2) | 不明 |
奈良県の名水百選マップ
- (1番左)洞川湧水群
- (左から2番目)七滝八壺
- (1番右)曽爾高原湧水群