歴史が古く優れた【神奈川県の名水】3カ所をご紹介~名水百選より~
相模湾(さがみわん)に面する関東地方南部の地、神奈川県。
西部には丹沢山地や足柄山地(あしがらさんち)がそびえ、ふもとの秦野盆地(はだのぼんち)や足柄平野などからすぐれた水がこんこんと湧きだしてきました。
今回ご紹介するのは、名水百選選抜総選挙の「おいしさがすばらしい名水部門」で1位になった「秦野盆地湧水群(はだのぼんちゆうすいぐん)」、名高い僧(そう)が100日間滝にうたれて修業したといわれる「洒水の滝・滝沢川(しゃすいのたき・たきざわがわ)」、日本をはじめ世界の産業の発展におおきく貢献した「清左衛門地獄池(しゃすいのたき・たきざわがわ)」の3つです。
以下の文章では、丹沢や足柄の大自然が生み出した3カ所の名水を順にご紹介していきます。
目次
昭和の名水百選
秦野盆地湧水群
読みがな:はだのぼんちゆうすいぐん。
秦野市(はだのし)の北には丹沢連峰が、南方には渋沢丘陵(しぶさわきゅうりょう)が東西にはしり、県でただひとつの盆地を形づくっています。
市内をながれる河川の多くはその丹沢連峰から発達しており、そこからくる水無川(みずなしがわ)および金目川(かなめがわ)などは下流で扇状地(せんじょうち)という地形をつくり、昔から多くの人が「秦野盆地湧水群」にあたる水を生活用水に使ってきました。
そこの生活していた跡から、本地域の人類による水の利用の歴史は縄文時代早期(約7,000~8,000年前)にさかのぼるとみられ、江戸時代にはこれらの豊富な水を使って用水路が発達しました。
現在では、秦野市の水道の水源は湧水をはじめとする地下水がその大部分をまかなっています。
名水百選選抜総選挙
おいしさが素晴らしい名水部門 1位
種類
湧水
所在地・アクセス
神奈川県秦野市
- 東名高速道路「大井松田IC」から「秦野盆地湧水群」まで車で約9分(5.0km)。
水質データ
水温 | 16.4℃ |
---|---|
硬度(mg/L) | 117.8(中硬水) |
水素イオン濃度(pH) | 7.0 |
電気伝導度(EC) | 267.3 |
塩化物イオン(Cl–) | 8.8 |
硝酸イオン(NO3–) | 18.9 |
硫酸イオン(SO42-) | 22.2 |
重炭酸イオン(HCO3–) | 89.0 |
ナトリウムイオン(Na+) | 5.3 |
カリウムイオン(K+) | 0.5 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 8.8 |
カルシウムイオン(Ca2+) | 32.7 |
二酸化ケイ素(SiO2) | 212.5 |
通販で購入できるおすすめ品
おいしい秦野の水
秦野湧水群として「全国名水百選」に選ばれた緑豊かな丹沢の山々から流れ出た水は厚い層を通り、ミネラル分を含んだ地下水になっています。
「おいしい秦野の水」は、この水を地下約70mからくみ上げ、ボトル詰めしています。硬度は89度。お茶やコーヒー、ウイスキーなど香りを楽しむ飲み物にぴったりな中硬水です。
放射能測定結果に関しては、秦野市役所公式ホームページで公開されているので、参考にされると良いでしょう。
- メーカー:秦野市観光協会
容量:500ml
品名:ボトルドウォーター
原材料名:地下水
硬度:89(中硬水)
洒水の滝・滝沢川
読みがな:しゃすいのたき・たきざわがわ。
足柄上郡(あしがらかみぐん)にある山北町は、西部が静岡県に接し、北部は丹沢の山々におおわれ、南部にはわずかな平地が開けています。
酒匂川(さかわがわ)はその山々をぬいながら平地に流れる川ですが、その川に流れこんでくる滝沢川の上流に「洒水の滝」があります。
鎌倉時代初期、名僧である文覚上人が100日間この滝にうたれて修業をしたと伝えられ、そのゆかりの不動尊が滝の近くにあり、今でもその滝にうたれる人は多いです。
滝のある平山地区では住民が管理を行うとともに、滝の水は生活用水だけでなく、飲料水、農業用水、雑用水としても利用されています。
種類
河川
所在地・アクセス
神奈川県足柄上郡山北町
- 東名高速道路「大井松田IC」から「洒水の滝」まで車で約21分(9.7km)。
水質データ
水温 | 17.5℃ |
---|---|
硬度(mg/L) | 45.2(軟水) |
水素イオン濃度(pH) | 7.0 |
電気伝導度(EC) | 136.5 |
塩化物イオン(Cl–) | 2.6 |
硝酸イオン(NO3–) | 5.3 |
硫酸イオン(SO42-) | 9.6 |
重炭酸イオン(HCO3–) | 43.5 |
ナトリウムイオン(Na+) | 4.2 |
カリウムイオン(K+) | 2.0 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 2.8 |
カルシウムイオン(Ca2+) | 13.5 |
二酸化ケイ素(SiO2) | 103.4 |
平成の名水百選
清左衛門地獄池
読みがな:せいざえもんじごくいけ。
「金太郎のふるさと」として知られる南足柄市(みなみあしがらし)。この地にある「清左衛門地獄池」の名前には伝説がのこされています。
昔、清左衛門という人が水源をさがしていたところ、狩野(かの)地域で乗っていた馬もろとも地中に落下してしまいました。すると、そこから水が勢いよく湧きだしてきたのです。そこで、地元の人たちがその場所で「清左衛門」とよぶとさらに勢いよく水が湧きだしたそうです。これが、清左衛門地獄池の名の由来です。
この周辺の湧き水は有機質が少なく、豊富な水量をほこっているので、写真フィルムメーカーの工業用水として昭和の初期から利用されてきました。
また、池の横には厳島(いつくしま)神社がまつられ、わきには建ててから400年になる弁財寺(べんざいじ)があるなど歴史ある建物がならび、サクラ、キク、モミジなどにいろどられる美しい景色もみどころです。
種類
湧水
所在地・アクセス
神奈川県南足柄市
- 東名高速道路「大井松田IC」から「清左衛門地獄池」まで車で約22分(7.1km)。
水質データ
水温 | 16.8℃ |
---|---|
硬度(mg/L) | 59.5(軟水) |
水素イオン濃度(pH) | 8.3 |
電気伝導度(EC) | 125.4 |
塩化物イオン(Cl–) | 3.0 |
硝酸イオン(NO3–) | 5.0 |
硫酸イオン(SO42-) | 5.5 |
重炭酸イオン(HCO3–) | 64.1 |
ナトリウムイオン(Na+) | 5.5 |
カリウムイオン(K+) | 1.3 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 4.9 |
カルシウムイオン(Ca2+) | 16.0 |
二酸化ケイ素(SiO2) | 不明 |
神奈川県の名水百選マップ
- (1番左)洒水の滝・滝沢川
- (左から2番目)清左衛門地獄池
- (1番右)秦野盆地湧水群