周囲の田園が美しい【香川県の名水】2カ所をご紹介~名水百選より~
瀬戸内海に面する四国北東の地、香川県。
香川県は全国一面積がせまい県で、利便性の高い都市とと美しい自然が調和した災害の少ない県として知られています。しかし、この地は川が少なく、しかも短いことから、昔から水の対策に手を焼いてきました。そうした理由で、以下ご紹介する名水は住民にとって貴重な水でした。
今回の名水の舞台は、オリーブが育つくらい温暖な瀬戸内海にうかぶ島と、麺のコシがしっかりと入った讃岐うどんを育んだ讃岐平野の2カ所です。1つ目は、雨がふらなくてもかれることがない貴重な島の水源「湯船の水(ゆぶねのみず)」、2つ目は飲用や茶用などに県内外から多くの人が水をくみに訪れる「楠井の泉(くすいのいずみ)です。
以下の文章では、讃岐の厳選された名水について順に説明していきます。
目次
昭和の名水百選
湯船の水
読みがな:ゆぶねのみず。
香川県の小豆島(しょうどしま)といえば、壷井栄の小説「二十四の瞳」の舞台となった島としてその名が知られています。
瀬戸内海に位置するこの島は毎年のように水不足で悩まされていますが、このような中、「湯船の水」は、干ばつの時にもかれることのない貴重な水源として昔から大切に利用されてきました。
これは水道水として取水され、残りは共同洗い場で利用されてから、「千枚田」とよばれる急斜面の水田にひかれます。
湧水の保全管理は、地区住民が中心となって水路の維持管理、水源地の清掃管理などが行われています。
種類
湧水
所在地・アクセス
香川県小豆郡小豆島町
- 「高松港」よりフェリーで約1時間で「池田港」へ。
- フェリーターミナルから「湯船の水」まで約26分(5.8km)。
水質データ
水温 | 15.7℃ |
---|---|
硬度(mg/L) | 52.5(軟水) |
水素イオン濃度(pH) | 7.4 |
電気伝導度(EC) | 150.9 |
塩化物イオン(Cl–) | 5.5 |
硝酸イオン(NO3–) | 0.0 |
硫酸イオン(SO42-) | 3.8 |
重炭酸イオン(HCO3–) | 75.6 |
ナトリウムイオン(Na+) | 8.1 |
カリウムイオン(K+) | 3.1 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 5.8 |
カルシウムイオン(Ca2+) | 11.5 |
二酸化ケイ素(SiO2) | 60.4 |
平成の名水百選
楠井の泉
読みがな:くすいのいずみ。
「楠井の泉」は地元では「お前泉(おまえいずみ)」とよばれて親しまれています。この水は楠井地区のふもとにこんこんと湧きだしており、干ばつの際にも水量がまったく減らなかったという霊泉です。毎年20日には、祭祀(さいし)がとりおこなわれているほか、地元の住民が石碑をたてたりしています。
泉には県内外の人が訪れ、料理や飲用、茶の湯にこの水を利用しています。水源の周囲の景観もまた魅力で、昔ながらののどかな田園風景が広がっています。
保全活動については、地元の人が毎日の清掃や、水質検査を実施しています。
種類
湧水
所在地・アクセス
香川県高松市
- 高松自動車道「高松檀紙IC」から「楠井の泉」まで車で約16分(5.3km)。
水質データ
水温 | 18.4℃ |
---|---|
硬度(mg/L) | 55.8(軟水) |
水素イオン濃度(pH) | 6.1 |
電気伝導度(EC) | 230.0 |
塩化物イオン(Cl–) | 30.1 |
硝酸イオン(NO3–) | 2.3 |
硫酸イオン(SO42-) | 16.3 |
重炭酸イオン(HCO3–) | 58.0 |
ナトリウムイオン(Na+) | 23.2 |
カリウムイオン(K+) | 0.2 |
マグネシウムイオン(Mg2+) | 3.6 |
カルシウムイオン(Ca2+) | 16.6 |
二酸化ケイ素(SiO2) | 不明/td> |
香川県の名水百選マップ
- (左側)楠井の泉
- (右側)湯船の水