アイスランド国土の輪郭シルエットを重ねた、オルフス自治体スレンクスリ峠の苔むした溶岩原の写真(オルフス泉の記事のアイキャッチ)

5,000年前の溶岩が磨く水【世界の名水】オルフス泉〜アイスランド〜

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北大西洋に浮かぶ火山と氷河の島、アイスランド。この島のオルフス泉から採水されるボトルドウォーター「アイスランディック・グレイシャル(Icelandic Glacial)」は、約5,000年前の火山噴火で流れた溶岩(レイティ溶岩)の層を通って涵養される泉の水です。日本公式サイトは「火山岩で5000年もの時間をかけてゆっくり天然ろ過され」と説明していますが、本国公式サイトの原文は「オルフス泉は5,000年以上前の大噴火で形成された」であり、5,000年は水が地下にとどまる時間ではなく、泉をつくった溶岩の年代です(Icelandic Glacial 本国公式・日本公式、オルフス自治体公式、アイスランド大学 Vísindavefurinn・2026年9月3日確認)

本記事では、この「アイスランドの氷河水」について、pH8.4・TDS62ppmといった公式サイトに記載のある数値と、水源であるオルフス泉の物語、環境面での認定までを整理します。掲載する事実・数値は、公式サイトの記載に、アイスランドの公的機関の資料とメーカーが公開する第三者機関の水質検査報告(2026年)で裏付けを加えて整理しています。

アイスランドの氷河水(アイスランディック・グレイシャル)とは

先に結論です。アイスランディック・グレイシャルは、公式サイトで「アイスランドの伝説的なオルフス泉」と紹介される泉を水源とするナチュラルウォーターで、次の3点が大きな特徴です。

いずれも公式サイト「お水について」のページに記載されている内容です(Icelandic Glacial日本公式サイト・2026年8月調査)。氷河と火山が同居するアイスランドの大地そのものが、巨大なろ過装置として働いている——そんなイメージで捉えると分かりやすい水です。

オルフス自治体の中心の町ソルラウクスホプンの教会(ソルラウクスキルキャ)と帆の形の彫刻、背後の家並み
オルフス自治体の中心の町ソルラウクスホプンの教会と家並み。町は約5,000年前のレイティ溶岩の上に広がっています。写真:TommyBee(Wikimedia Commons)/Public domain

水の数値・特徴:pH8.4とTDS62ppm

公式サイトに記載のある数値・特徴を表1にまとめます。

※表中の数値・認定はIcelandic Glacial公式サイトの記載にもとづく値です。メーカーが公開している第三者機関(NSF)の2026年2月の水源水質検査報告では、pH 8.49・TDS 72mg/L・硬度 23mg/L(CaCO3換算)と報告されています。「世界初のカーボンニュートラル認定」については、公的機関の公表資料および査読論文での一次資料の再確認を進めています(2026年9月3日時点で未確認)。

項目公式サイトの記載
水源アイスランドの伝説的なオルフス泉
ろ過・水源の成り立ち「溶岩の層を通して5,000年間ゆっくりとろ過」(日本公式)/「5,000年以上前の大噴火で形成された泉」(本国公式)
pH8.4(「非常に望ましく高いpH」と紹介)
TDS(総溶解固形分)62ppm(低ミネラル)
環境認定世界で初めて製品とオペレーションの両方でカーボンニュートラルに認定されたボトル入り飲料水
受賞歴2007年ボトルドウォーターワールドデザインアワード「ベストサステナビリティイニシアチブ」受賞
表1:アイスランディック・グレイシャルの数値・特徴。Icelandic Glacial日本公式サイト記載(2026年8月調査)

pH8.4はアルカリ性寄りの水

pHは水の酸性・アルカリ性を示す指標で、7が中性、それより大きいとアルカリ性です。アイスランディック・グレイシャルの公式サイトは、自社の水を「8.4という非常に望ましく高いpH」と紹介しています(Icelandic Glacial日本公式サイト・2026年8月調査)。pHの数値は水の個性を知る手がかりですが、pHの高低が体に良い・悪いといった効果の話は個人差や医学的な判断を含むため、本記事では扱いません。あくまで「アルカリ性寄りの水質」という事実として押さえておきましょう。

TDS62ppmは「溶け込んでいる成分が少ない」ことを示す

TDS(Total Dissolved Solids=総溶解固形分)は、水に溶け込んでいるミネラルなどの固形分の総量を示す指標です。公式サイトはTDS62ppmという数値を挙げ、低ミネラルの水であるとしています。数値が小さいほど「すっきりした軽い飲み口」と表現されることが多い領域です。

TDSと硬度はどう違うのか

TDSと硬度は、どちらも水に含まれる成分に関わる指標ですが、見ている対象が異なります。硬度がカルシウムとマグネシウムという特定の2成分の量から計算されるのに対し、TDSは水に溶け込んでいる固形分全体の総量を示します。つまりTDSは「水全体としてどれだけ濃いか・薄いか」を、硬度は「軟水か硬水か」を見るためのものさしです。アイスランディック・グレイシャルの場合、公式に示されているのはTDSという全体の薄さのほうであり、低TDSの水は一般に、成分の主張が少ないぶん、すっきりとした印象で語られることが多い水です。

なお、日本で軟水・硬水の区分によく使われる「硬度」(カルシウムとマグネシウムの量から計算する指標)については、公式サイトに記載がありませんが、メーカーが公開する第三者機関の2026年検査報告では23mg/L(CaCO3換算・軟水)です(よくある質問を参照)。硬度という指標そのものの意味は、硬度とは何かを解説した記事で詳しく整理しています。

オルフス自治体にある溶岩洞ラウヴァルホゥルスヘトリルの入口。約5,000年前のレイティ溶岩の岩塊が積み重なる
オルフス自治体の溶岩洞ラウヴァルホゥルスヘトリルの入口。約5,000年前に流れたレイティ溶岩の中にあり、この溶岩の層が水源一帯に広がっています。写真:Antony-22(Wikimedia Commons)/CC BY-SA 4.0

5,000年前の溶岩が育む——水源オルフス泉と土地の物語

火山の島がつくる天然のろ過装置

アイスランドは火山活動が活発な島で、国土には溶岩が冷えて固まった台地が広がっています。冷え固まった溶岩の層は隙間の多い構造をしており、地表に降った雨や雪解け水は、この層を少しずつ通り抜けながら地下へと浸み込んでいきます。

アイスランドには氷河も広がっており、国名が「氷の国」を意味することでも知られています。火山の熱と氷河の冷たさが同居する独特の環境は、豊かな水の循環を生み出してきました。降り積もった雪や雨は、地表を流れて滝や川になるだけでなく、その一部が溶岩台地の下へと潜り込み、長い地下の旅を始めます。アイスランディック・グレイシャルがボトリングしているのは、この地下の旅を終えて泉として姿を現した水です。

水源のあるオルフス(Ölfus)一帯に広がる溶岩は、ブラゥフィヨットル山地の東側にあるレイティ(Leiti)火口から流れ出た「レイティ溶岩(Leitahraun)」です。オルフス自治体はこの溶岩を約5,000年前のものとし、地質学者の年代測定では放射性炭素年代で約4,600年(暦年で約5,200年)前とされています(オルフス自治体公式・アイスランド大学 Vísindavefurinn・2026年9月3日確認)。日本公式サイトの「5,000年かけてろ過」という表現に対し、本国公式サイトは「オルフス泉は5,000年以上前の大噴火で形成された」と説明しており、5,000年は水が地下にとどまる時間ではなく、泉をつくった溶岩の年代です。隙間の多い溶岩の層に降った雨と雪解け水がゆっくり浸透することで、泉は絶えず涵養されています(Icelandic Glacial 本国公式「The Source」・2026年9月3日確認)

ラウヴァルホゥルスヘトリル溶岩洞の内部。赤い溶岩の岩肌から水がしたたり、氷柱になっている
溶岩洞の内部。隙間の多い溶岩の岩肌から水がしたたり、冬には氷柱になります。写真:Jakub Hałun(Wikimedia Commons)/CC BY-SA 4.0

「伝説的なオルフス泉」から採水

水源のオルフス泉は、公式サイトで「アイスランドの伝説的なオルフス泉」と紹介されています。南アイスランド保健監督局の操業許可によると、水源と工場の所在地はオルフス自治体のフリーザレンディ(Hlíðarendi)で、ボトリング施設と水道の操業が公的に許可されています。オルフス自治体が委託した地下水報告(2018年)では、フリーザレンディから中心の町ソルラウクスホプンにかけての溶岩は非常に透水性が高く、この海岸一帯では約33m³/秒の地下水が海へ流れ出ているとされ、同社は流域上部のフリーザレンディの泉から採水しています。本国公式サイトは「1日90万m³以上の水が泉から海へ溢れ、同社が採水するのはその0.1%未満」と説明しています(南アイスランド保健監督局・オルフス自治体委託 Vatnaskil 報告書18.09・Icelandic Glacial 本国公式・2026年9月3日確認)

「氷河水」という名前から氷河を直接溶かした水を想像するかもしれませんが、公式サイトの説明で示されている水源はあくまでオルフス泉です。氷河と火山の島の地層が育てた泉の水、と理解するのが正確です。

世界初のカーボンニュートラル認定ボトルドウォーター

アイスランディック・グレイシャルのもう一つの顔が、環境面での取り組みです。公式サイトによると、同社は「世界で初めて製品とオペレーションの両方でカーボンニュートラルに認定されたボトル入り飲料水」であり、2007年にはボトルドウォーターワールドデザインアワードの「ベストサステナビリティイニシアチブ」を受賞しています(Icelandic Glacial日本公式サイト・2026年8月調査)。水そのものだけでなく、つくり方・届け方まで含めて評価されているブランドだと言えます。

溶岩原の上に広がるオルフス自治体の中心の町ソルラウクスホプンと、その先の大西洋(2024年撮影)
溶岩原の上に広がるオルフス自治体の中心の町ソルラウクスホプン。地下水はこの海岸から海へ流れ出ます。写真:Steinninn(Wikimedia Commons)/CC BY 4.0

現地情報と楽しみ方

水源のオルフス自治体はレイキャビクの南東約50kmにあり、中心の町ソルラウクスホプン(Þorlákshöfn)には黒砂の海岸や溶岩原、レイティ溶岩の中にできた溶岩洞ラウヴァルホゥルスヘトリル(Raufarhólshellir)などの見どころがあります(南アイスランド観光局 Visit South Iceland・オルフス自治体公式・2026年9月3日確認)。ただし、オルフス泉そのものは採水施設の敷地内にあり、一般向けの見学案内は公式サイトにないため、本記事では訪問できるとは断定しません。現地を訪れる場合は、最新の公式情報や現地の案内を確認してください。

日本では、輸入されたボトル入りのアイスランディックを購入できます。楽しみ方としては、次のような味の比較がおすすめです。

初めて試すなら、次の比較の仕方が分かりやすい方法です。

【手順1】アイスランディックと普段の水(水道水や国産の天然水)を、同じ温度にそろえます。温度が違うと味の印象が大きく変わるためです。

【手順2】同じ形のコップに注いで、交互に一口ずつ飲みます。飲み口の軽さや後味の残り方に注目してください。

【手順3】最後にラベルや公式サイトのpH・TDSの数値を見て、自分が感じた印象と数値を照らし合わせます。

味の感じ方は人それぞれですので、あくまで「数値という客観的なものさしを片手に、自分の好みを探す」感覚で試してみてください。

オルフス自治体との境を流れるオルフスアゥ川と、対岸にそびえるイングゥルフスフィヤットル山
オルフス自治体の東の境を流れるオルフスアゥ川と、対岸のイングゥルフスフィヤットル山(南アイスランド・アゥルネス県)。写真:Olga Ernst(Wikimedia Commons)/CC BY-SA 4.0

日本の名水と並べてみると

日本にも、地層が長い年月をかけて水を磨くという点で共通する名水が数多くあります。環境省が選定した名水百選には、火山山麓の湧水や石灰岩地帯の湧水など、地質がろ過装置として働いた水が多く含まれています。日本の名水の全体像は名水百選の解説記事で紹介しています。

一方で、約5,000年前の溶岩の層が水を磨くという成り立ちと、pH8.4・TDS62ppmという組み合わせは、アイスランドの溶岩層ならではの個性です。世界の名水はそれぞれの土地の地質と気候を映し出します。たとえばニュージーランドのテ・ワイコロププの泉は透明度で知られる湧水ですし、韓国・済州島には火山岩盤層がろ過した水があります。同じ「火山の島の水」でも、ろ過にかかる時間や水質はまったく異なります。味を比較する際は、こうした土地ごとの背景を知っておくと楽しみが深まります。

また、水の個性は「その国で日常的に飲まれている水」と比べてみると、いっそう分かりやすくなります。国や地域によって水道水の水質や硬度の傾向は大きく異なり、日本の軟水に慣れた舌には、海外の水が新鮮に感じられることも少なくありません。世界の水道水の傾向は世界の水道水の解説記事で整理しています。陸の水とは成り立ちがまったく異なるハワイの海洋深層水の記事と読み比べるのもおすすめです。

よくある質問

硬度はどれくらいですか?

公式サイトには硬度の記載がありませんが、メーカーが公開している第三者機関(NSF)の2026年2月の水源水質検査報告では、硬度23mg/L(CaCO3換算)、カルシウム5.5mg/L、マグネシウム2.2mg/Lと報告されており、日本の区分では軟水にあたります。同じ報告でのTDSは72mg/L、pHは8.49でした(Icelandic Water Holdings 公開のNSF検査報告・2026年2月27日付・2026年9月3日確認)

「5,000年」は何の年数ですか?

日本公式サイトは「火山岩で5000年もの時間をかけてゆっくり天然ろ過され」と説明していますが、本国公式サイトの原文は「オルフス泉は5,000年以上前の大噴火で形成された」です。オルフス自治体はこの一帯のレイティ溶岩を約5,000年前のものとし、地質学者の年代測定では放射性炭素年代で約4,600年(暦年で約5,200年)前とされています。つまり5,000年は泉をつくった溶岩の年代であり、水が地下にとどまる時間を示す一次資料は確認できていません(Icelandic Glacial 本国公式・日本公式、オルフス自治体公式、アイスランド大学 Vísindavefurinn・2026年9月3日確認)

保存や賞味期限はどうすればよいですか?

ボトルドウォーターの賞味期限や保存方法は商品ラベルの表示が基準です。直射日光を避けるなど、ラベルに記載された保存条件に従ってください。

オルフス自治体のレイキャダールル渓谷。緑の谷に湯気が立ちのぼる火山の島の風景
オルフス自治体のレイキャダールル渓谷。湯気は地熱によるもので、冷たいオルフス泉とは別の水です。写真:Jakub Fryš(Wikimedia Commons)/CC BY-SA 4.0

まとめ

数値も物語も、はっきりした個性を持った一本です。世界の水の味の比較の入り口としても選びやすい水だと言えるでしょう。

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オルフス泉の水をボトリングしたアイスランドのナチュラルウォーター。pH8.4・TDS62ppmは公式サイト記載(Icelandic Glacial日本公式サイト・2026年8月調査)
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成分の少ない水をつくる

オルフス泉の水はTDSが低く、溶けている成分が少ない水です。家庭の浄水型サーバーがどこまで成分を取り除けるかは、フィルターの性能と交換の頻度で決まります。

出典

一次資料(政府機関・公的機関の公表資料および査読論文)。リンクの到達性は2026年9月3日に確認しました。

参考サイト

自動取得ができず本文の根拠には用いていない資料(2026年9月3日確認)