海辺の積み石の写真を背景にミネラルの粒が入った水滴と硬度の横スライダーを描いたイラスト(硬度とは?の記事)

硬度とは?水のカルシウムとマグネシウムの計算式

ミネラルウォーターのラベルや浄水器の説明でよく見かける「硬度」。この記事では、硬度とは何を測った数値なのか、どんな計算式で求められるのか、そして公的な基準の中でどう扱われているのかを、基礎知識のレベルで整理します。

特定の商品やウォーターサーバーの選び方には踏み込みません。数値の意味を自分で読めるようになるための予備知識としてお読みください。

硬度とは何を測った数値か

硬度とは、水に含まれるカルシウムとマグネシウムの量をもとに算出される指標です。この2つのミネラルが多い水ほど硬度が高く「硬水」、少ない水ほど硬度が低く「軟水」と呼ばれます。

ポイントは、カルシウムとマグネシウムをそのまま足すのではなく、「炭酸カルシウムの量に換算したらどれくらいか」に置き直して表す点です。単位はmg/L(水1リットルあたりのミリグラム)が使われるのが一般的です。異なる2つのミネラルを1つの物差しにそろえるための工夫、と考えると分かりやすいはずです。

計算式:カルシウムとマグネシウムを炭酸カルシウムに換算する

日本で一般に用いられる換算式として紹介されるのは、次の形です。

硬度(mg/L)≒ カルシウム(mg/L)× 2.5 + マグネシウム(mg/L)× 4.1

係数の2.5と4.1は、炭酸カルシウムとカルシウム・マグネシウムそれぞれの分子量・原子量の比から導かれる数値です。マグネシウムはカルシウムより軽い分、同じ重さでも粒(原子)の数が多くなるため、大きな係数が掛かる——という理屈です。

仮の数値で計算してみます。カルシウムが20mg/L、マグネシウムが5mg/L含まれる水があるとすると、硬度は「20×2.5+5×4.1=70.5mg/L」となります(この数値は計算例のための仮定で、特定の水の実測値ではありません)。ラベルにカルシウム・マグネシウムの含有量が書かれていれば、硬度の記載がなくても自分でおおよその硬度を求められます。

計算のイメージをつかむために、仮の数値で3パターンを並べてみます。

カルシウムマグネシウム硬度の計算結果(目安の区分)
10mg/L2mg/L10×2.5+2×4.133.2mg/L(一般に軟水とされる範囲)
20mg/L5mg/L20×2.5+5×4.170.5mg/L(軟水と硬水の中間的な範囲とされることが多い)
80mg/L30mg/L80×2.5+30×4.1323mg/L(一般に硬水とされる範囲)
表1:硬度の計算例。数値はいずれも計算のための仮定で、特定の水の実測値ではありません(編集部作成)

単位と表記のバリエーション

日本のラベルで見かける硬度はほとんどがmg/L表記ですが、同じ意味でppmという単位が使われることもあります。水1リットルはおよそ100万ミリグラムなので、mg/Lとppmは水の硬度の文脈では実質的に同じ数値として扱われるのが一般的です。

また、国や資料によっては「ドイツ硬度」「アメリカ硬度」といった異なる換算体系が使われることがあります。日本で広く使われているのは炭酸カルシウム換算のmg/L(アメリカ硬度の体系)で、本記事の計算式もこれに沿ったものです。海外の資料や輸入品のラベルを読むときは、どの体系の数値かに注意が必要とされます。

ラベルを読む実践としては、まず「硬度」の直接表記を探し、なければ栄養成分表示のカルシウム・マグネシウムの量(多くは100mLあたり表記のため、1Lあたりに直すには10倍します)を換算式に入れる、という順番が確実です。

公的な基準では硬度はどう扱われているか

水道水については、国が定める水質基準の中に硬度の項目があります。水道の水質基準は52項目(令和8年4月1日施行版)で構成され、その中で硬度は「カルシウム、マグネシウム等(硬度)300mg/L以下」と定められています(環境省「水質基準項目と基準値(52項目)」・2026年8月9日調査)

さらに、水質基準とは別に「水質管理目標設定項目」という管理上の目標があり、そこでは硬度は「10mg/L以上100mg/L以下」という範囲で挙げられています(同・2026年8月9日調査)。基準の300mg/L以下が「守るべき上限」、目標の10〜100mg/Lが「管理上望ましいとされる範囲」という2段構えになっている、と読むことができます。

区分の目安と、実際の水の硬度

軟水・硬水の境界線の引き方は資料によって幅がありますが、一般に軟水とされる目安として60mg/L未満、日本で慣用的に使われる区分として100mg/L未満を軟水とする呼び方がよく用いられます。

実例を挙げると、当サイトが調査した国内の宅配水5社の水の硬度は代表値で22〜50mg/L(各社公式サイト記載・2026年8月調査)で、いずれも上の目安に照らすと軟水の範囲に収まります。国産の天然水の多くが軟水と説明されるのは、こうした実際の数値とも整合しています。

よくある疑問:硬度が極端に低い水・高い水

「硬度がほぼゼロの水はあるのか」という疑問には、ミネラルをほとんど含まないように処理された水(純水に近い水)が該当する、と説明されます。逆に硬度が非常に高い水は、海外の石灰質地層を長く通った天然水などに見られるとされます。

大切なのは、硬度の高低はそのまま良し悪しではない、という点です。水質基準の300mg/L以下という上限はありますが、その範囲内であれば、どの硬度が「正解」かは用途と好みの問題です。数値の意味さえ読めれば、宣伝の言葉に頼らずに自分で選べるようになります。

まとめ

硬度は、水中のカルシウムとマグネシウムを炭酸カルシウムの量に換算して表した指標です。「カルシウム×2.5+マグネシウム×4.1」という一般的な換算式を知っておけば、ラベルのミネラル表示から自分で概算できます。公的には、水道水の水質基準で300mg/L以下、水質管理目標として10〜100mg/Lという物差しが示されています。

なお、本記事の区分や換算式の説明は一般的な目安としての整理です。ウォーターサーバーを硬度の観点で選びたい方は、宅配水5社の硬度一覧の記事と、浄水型の硬度が地域の水道水で決まる仕組みの記事をあわせてお読みください。