ノートの写真を背景にチェックリストと虫眼鏡を描いたイラスト(水質基準52項目の記事)

水道水の水質基準52項目とは

「水道水って、どんな基準で安全が確認されているの?」と気になって検索すると、「51項目」と書かれた記事と「52項目」と書かれた記事の両方が見つかり、混乱してしまった——そんな方に向けて、水道水の水質基準の項目数と中身を、環境省の公表資料の原文にもとづいて整理します。

本記事で扱う数値・記載内容は、環境省「水質基準項目と基準値(52項目)」のページと東京都水道局の公表資料を2026年8月に確認した内容にもとづきます。項目数は改正で変わることがあるため、施行日とあわせて確認していきます。

結論:水道水の水質基準は52項目(令和8年4月1日施行)

先に結論です。水道水の水質基準は、令和8年4月1日施行版で52項目です。環境省のページにも「水質基準項目と基準値(52項目)」として一覧が掲載されています(環境省「水質基準項目と基準値(52項目)」・2026年8月調査)

インターネット上には「水質基準は51項目」と書かれた記事も多く残っていますが、これは改正前の情報です。令和8年4月1日施行の改正でPFOS及びPFOAが水質基準に追加され、項目数が52になりました。「51項目」と「52項目」のどちらが正しいか迷ったら、記事がいつ時点の情報か(施行日がいつの版を参照しているか)を確認するのが確実です。

森のなかを段になって流れ落ちる沢の水
水道水のもとになる川や地下水も、蛇口に届くまで基準で管理されます。写真:Matt Bango/CC0

水質基準52項目とは何か

水質基準とは、水道水が満たすべき水質の基準として、項目ごとに基準値を定めたものです。蛇口から出る水道水は、この52項目の基準値を満たすことが求められています。項目と基準値の一覧は環境省のページで公表されており、誰でも確認できます。

「52項目」という数字だけを聞くと多いように感じるかもしれませんが、見方を変えれば、水道水は52もの観点から水質がチェックされている、ということでもあります。項目ごとに「この物質・この性質は、この値まで」という基準値が数字で決まっているため、検査の結果を基準値と突き合わせれば、誰が見ても満たしているかどうかを判断できます。あいまいな「きれい」「安全そう」ではなく、数字で管理されている点が水質基準の要です。

一覧はどこで確認できるか

52項目の一覧と基準値は、環境省の「水質基準項目と基準値(52項目)」のページ(環境省公式サイト)に掲載されています。本記事では全項目の転載はせず、当サイトが原文で確認した項目を例として取り上げます。全体像を知りたい方は、上のリンクから一次情報にあたることをおすすめします。

「51項目」という記載を見かけたら

PFOS及びPFOAは、令和7年6月に水質管理上の指針値としての位置づけを経て、令和8年4月1日施行で水質基準の項目に加わりました。この追加によって項目数が51から52になったため、それ以前に書かれた記事や書籍では「51項目」と紹介されています。数え方が違うのではなく、基準そのものが改正された、というのがポイントです。

水に関する記事を読むときは、公開日や更新日だけでなく「どの施行日の基準を参照しているか」に目を向けると、情報の鮮度を見分けやすくなります。基準の改正をまたぐ話題では、公開日が新しくても古い基準のまま書かれている記事もあるためです。

52項目の中身:原文で確認できた基準値の例

52項目には、さまざまな物質や性質に関する基準値が並んでいます。ここでは、当サイトが環境省ページの原文で確認した2つの項目を例として紹介します(表1)。この2つだけでも、「暮らしに身近な指標(硬度)」と「新しく加わった項目(PFOS及びPFOA)」という水質基準の両面が見えてきます。

項目名(原文)基準値備考
カルシウム、マグネシウム等(硬度)300mg/L以下いわゆる「硬度」の基準
PFOS及びPFOA0.00005mg/L以下令和8年4月1日施行で追加
表1:水質基準52項目のうち、当サイトが原文確認した項目の例。環境省「水質基準項目と基準値(52項目)」(2026年8月調査)

カルシウム、マグネシウム等(硬度):300mg/L以下

水質基準の項目のひとつに「カルシウム、マグネシウム等(硬度)」があり、基準値は300mg/L以下と定められています(環境省「水質基準項目と基準値(52項目)」・2026年8月調査)。硬度は、水に溶けているカルシウムとマグネシウムの量をもとにした指標で、水の飲み口や料理との相性の話題でよく登場します。硬度そのものの意味や計算式は、別記事(硬度とは?水のカルシウムとマグネシウムの計算式)で詳しく解説しています。

ここでの単位「mg/L」は、水1リットルあたりに含まれる量をミリグラムで表したものです。「硬度300mg/L以下」であれば、1リットルの水に含まれるカルシウム・マグネシウム等の量(硬度換算)が300ミリグラムまで、という読み方になります。本記事で例に挙げる2項目はいずれもこの「mg/L」表記なので、単位の読み方を一度おさえておくと、基準値の一覧表がぐっと読みやすくなります。

PFOS及びPFOA:0.00005mg/L以下

令和8年4月1日施行で新しく加わったのが「PFOS及びPFOA」で、基準値は0.00005mg/L以下です(環境省「水質基準項目と基準値(52項目)」・2026年8月調査)。硬度の基準値300mg/Lと数字を並べてみると、桁がまったく違うことがわかります。非常に小さい濃度で管理される項目です。

PFOS・PFOAは、PFASと呼ばれる物質群の一種です。環境省のPFASポータルには「有機フッ素化合物のうち、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物を総称して『PFAS』と呼び、1万種類以上の物質がある」とあり、そのうちPFOS・PFOAは難分解性・高蓄積性・長距離移動性という性質を持つとされています(環境省 PFASポータル・2026年8月調査)。令和7年6月に水環境の「指針値(暫定)」が「指針値」に見直され、そのうえで令和8年4月1日施行の水質基準への追加に至った、という流れです。PFASそのものの解説は本記事の範囲を超えるため、ここでは「新しく水質基準に加わった項目」という位置づけの紹介にとどめます。

なお、家庭用の浄水カートリッジやウォーターサーバーのフィルターが「どんな物質を除去対象としているか」は製品ごとに異なります。浄水型ウォーターサーバーの除去対象物質については、別記事(浄水型ウォーターサーバーの除去物質とは?フィルター性能)で整理しています。

硬度について水質基準の300mg/L以下と水質管理目標設定項目の10〜100mg/Lという二つの数字がある理由を並べて説明した図
同じ硬度でも、基準(300mg/L以下)と目標(10〜100mg/L)で役割が違います。図:水のソムリエ編集部作成

「水質基準」と「水質管理目標設定項目」は別の枠

環境省の資料には、52項目の水質基準とは別に「水質管理目標設定項目」という枠があります。名前のとおり、守るべき基準値ではなく、水質管理上の目標として設定される値です。

この違いがわかりやすいのが硬度です。水質基準では「カルシウム、マグネシウム等(硬度)300mg/L以下」ですが、水質管理目標設定項目では「カルシウム、マグネシウム等(硬度)10mg/L以上100mg/L以下」とされています(環境省「水質基準項目と基準値(52項目)」・2026年8月調査)。同じ硬度という指標に、基準(300mg/L以下)と目標(10〜100mg/L)の2つの数字がある、という関係です。

「硬度100mg/L以下」という数字だけを見て「300mg/Lは基準オーバーでは?」と誤解しやすいところですが、次のように枠が違います。

記事や資料で硬度の数字を見かけたときは、どちらの枠の数字かを確かめると混乱しません。

52項目とは別のルール:残留塩素

水道水の話題でよく出てくる「塩素」は、水質基準52項目の表とは別のルールで管理されています。東京都水道局の資料には「蛇口で検出される塩素の濃度(残留塩素濃度)を0.1mg/L以上保持するよう定められています(水道法施行規則第17条第3号)」とあります(東京都水道局「塩素消毒」・2026年8月調査)

こちらは「以下」ではなく「以上」、つまり下限が定められている点が特徴です。塩素消毒の目的は病原性微生物の殺菌であり、蛇口に届くまで消毒効果を保つために、一定濃度を下回らないことが求められているためです。一方で、塩素の濃度が高いと味やにおいに影響を与えるため、快適性の観点からの上限は1mg/L以下とされています(東京都水道局「塩素消毒」・2026年8月調査)

まとめると、水道水の水質は「52項目の基準値(上限側の管理が中心)」と「残留塩素の保持(下限側の管理)」という性質の異なるルールの組み合わせで支えられている、と整理できます。

なお、「カルキ臭が気になる」という感覚と「決まりを満たしている」ことは矛盾しません。塩素の濃度が高いと味やにおいに影響を与えるとされているとおり、水道水の塩素は、消毒効果を保つための下限と、快適さの観点からの上限の間で管理されています。においの感じ方の話と、基準・ルールの話は分けて考えると混乱しません。

一次情報を自分で確認する手順

水質基準は今後も改正される可能性があります。ニュースや記事の数字を鵜呑みにせず、一次情報を自分で確認する習慣をつけておくと安心です。確認は次の3ステップでできます。

【手順1】環境省の「水質基準項目と基準値」のページを開きます。検索エンジンで「水質基準項目と基準値 環境省」と調べると見つかります。

【手順2】ページの表で、項目数と、気になる項目の基準値を確認します。本記事で例に挙げた「カルシウム、マグネシウム等(硬度)」「PFOS及びPFOA」も表の中にあります。

【手順3】その表がいつ施行の版かを確認します。本記事の時点では令和8年4月1日施行版で52項目ですが、改正があれば項目数や基準値が変わることがあります。古い記事と数字が食い違ったときは、施行日の新しいほうを信頼してください。

よくある質問

ミネラルウォーターにも52項目の基準が適用されますか?

本記事で解説した52項目は、水道水の水質基準です。ペットボトルなどの容器入り飲用水(ミネラルウォーター類)には、農林水産省の品質表示ガイドラインによる4分類(ナチュラルウォーター/ナチュラルミネラルウォーター/ミネラルウォーター/ボトルドウォーター)といった別の枠組みがあります。水道水とボトルの水は、管理の仕組みそのものが別立てになっている、と押さえておきましょう。

岩のあいだを勢いよく流れる水
地域ごとに水源が違うため、水質は地域の水道局の公表情報で確認します。写真:Tricia Gray/CC0

自分の住んでいる地域の水質はどこで確認できますか?

環境省のページで確認できるのは基準(項目と基準値)の一覧です。お住まいの地域の水道水が実際にどんな水質かを知りたい場合は、地域の水道局の公表情報を調べる方法があります。硬度を例にした具体的な調べ方は、別記事(水道水の硬度は地域で違う?自分の街の調べ方)で手順つきで解説しています。

項目数はこれからも変わりますか?

変わる可能性があります。実際に、令和8年4月1日施行の改正でPFOS及びPFOAが加わり、51項目から52項目になりました。だからこそ「◯項目」という数字を暗記するのではなく、「環境省のページで最新の一覧と施行日を確認する」という調べ方を覚えておくのが、いちばん息の長い知識になります。

まとめ

水質基準の項目数は、水道水の安全がどれだけ多面的に確認されているかを示す入り口です。ここから先は、硬度の意味を知りたい方は硬度の解説記事へ、家庭の浄水フィルターで何が除去できるかを知りたい方は浄水型ウォーターサーバーの除去物質の記事へ進んでみてください。

出典

一次資料(政府機関・公的機関の公表資料および査読論文)