冬のランニングでも水分補給は必要?寒いと渇きを感じにくい・飲む量は体重で確かめる
冬のランニングは汗をかいた実感が少なく、水を飲まずに走り終えてしまいがちです。しかし、寒い中では体が水分を必要としていても、のどの渇きを感じにくいことが研究で確かめられています。本記事では、日本陸上競技連盟と日本体力医学会の「市民ランナーの安全10か条」、日本スポーツ協会の水分補給の目安、運動生理学の研究をもとに、冬のランニングの水分補給を整理します。
結論:冬も「のどが渇く前に」。量は走る前後の体重で確かめる
- ・寒いと、のどの渇きを感じにくい。気温4℃と27℃を比べた研究では、寒さで渇きの感覚が最大で40%弱まった
- ・日本陸上競技連盟と日本体力医学会の「安全10か条」は、暑くても寒くても、のどの渇きを感じる前に塩分を含むドリンクを補給するよう呼びかけている
- ・補給量の目安は、運動による体重の減少が2%を超えないこと(日本スポーツ協会)。走る前と後に体重を測ると、失われた水分量がわかる
- ・汗の量は人によって大きく違う。自分の体重の変化で、自分に合った量を見つける

寒いと、のどの渇きを感じにくい
Kenefick らの研究グループは、気温4℃と27℃の部屋で、のどの渇きの感じ方を比べる2つの実験を行いました。1つ目の実験では、男性8人がTシャツと短パンで60分間歩き(最大酸素摂取量の50%の強さ)、4℃のほうが運動中ずっと渇きの感覚が低くなりました。2つ目の実験(男性9人・30分の立った状態とトレッドミル運動)も合わせた研究全体の結論として、体の水分が足りている状態でも不足している状態でも、寒さにさらされると、のどの渇きの感覚は安静時と中くらいの強さの運動中に最大で40%弱まったと報告しています(Kenefick ほか 2004・Medicine & Science in Sports & Exercise)。
つまり冬は、「のどが渇いたら飲む」という感覚に頼ると、補給が遅れやすいということです。研究は実験室の条件で行われたもので、実際の冬のランニングとは服装や走る強さが違いますが、寒い日ほど意識して飲む理由になります。
ふだんの生活でも、冬は水分をとる量が少なくなりがちです。厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」は、日本人成人(30〜76歳)の水の摂取量(食べ物と飲み物の合計)の季節ごとの平均を、秋2,280、冬2,135、春2,172、夏2,331 g/日と紹介しており、冬が最も少なくなっています(厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」(参考)水・2026年10月調査)。

どれくらい飲む?目安は「体重の2%」
日本スポーツ協会は、水分補給量の目安として、運動による体重の減少が2%を超えないように補給すること、運動の前後に体重を測れば失われた水分量がわかることを示しています。汗からは水分と同時に塩分も失われるため、スポーツドリンクなどで0.1〜0.2%程度の塩分も補給するとよいとしています(日本スポーツ協会「熱中症予防5ヶ条」・2026年10月調査)。この目安は熱中症予防の資料にあるものですが、体重で水分の減り方を確かめる方法は季節を問わず使えます。
図2のように、たとえば体重60kgの人なら、2%は1.2kgです(編集部の計算)。走る前と後の体重の差がこれを超えないように飲みます。
アメリカスポーツ医学会(ACSM)の運動と水分補給に関する公式見解も、運動中の補給の目的を、体重の2%を超える水分不足を防ぐことにおいています。汗の量や汗に含まれる塩分の量は人によって大きく違うため、一人ひとりに合わせた補給の計画をすすめ、汗の量は運動前後の体重を測って見積もれるとしています(Sawka ほか 2007・Medicine & Science in Sports & Exercise)。
市民ランナーの安全10か条が呼びかけていること
日本体力医学会と日本陸上競技連盟医事委員会が共同で作った「マラソンに取り組む市民ランナーの安全10か条」の6番目は、「気温,湿度に適したウエアの着用と,適切な水分補給をしましょう」です。その解説には、次のように書かれています(日本体力医学会・体力科学 第62巻第3号・2026年10月調査)。
- ・気温、湿度に適したウエアでトレーニングをすることは、熱中症や低体温症の予防になる
- ・熱中症予防の観点だけでなく、完走のためにも水分補給は重要
- ・暑くても寒くても、のどの渇きを感じる前に塩分を含むドリンクを補給する
- ・トレーニング中から水分補給の練習をしておくことも大事
冬の大会に向けて練習する人は、10か条のとおり、ふだんの練習から水分補給を練習しておきましょう。走ったあとの入浴も含めて冬の水分補給を考えたい人は、お風呂上がりの水分補給はなぜ大切?もあわせてご覧ください。
まとめ
- ・寒いと、のどの渇きを感じにくい(4℃と27℃を比べた研究で、渇きの感覚が最大で40%弱まった)
- ・冬も、のどの渇きを感じる前に塩分を含むドリンクを補給する(市民ランナーの安全10か条)
- ・補給量の目安は、運動による体重の減少が2%を超えないこと。走る前後の体重で確かめる
- ・汗の量は人によって違う。自分の体重の変化で、自分に合った量を見つける
本記事の記載は2026年10月時点の調査にもとづく一般的な情報です。持病のある人や、腎臓・心臓の病気などで水分の量を制限されている人は、医師の指示にしたがってください。
出典
一次資料(政府機関・公的機関の公表資料および査読論文)
- ・日本体力医学会|体力科学 第62巻第3号「マラソンに取り組む市民ランナーの安全10か条」(日本体力医学会ガイドライン検討委員会・日本陸上競技連盟医事委員会、2013)|6.ウエアと水分補給(暑くても寒くても、のどの渇きを感じる前に塩分を含むドリンク補給)|確認日2026-10-03
- ・日本スポーツ協会|熱中症予防5ヶ条|3.失われる水と塩分を取り戻そう(体重減少が2%を超えないように補給・運動前後の体重測定・0.1〜0.2%程度の塩分)|確認日2026-10-03
- ・厚生労働省|日本人の食事摂取基準(2020年版)策定検討会報告書(参考)水|日本人成人(30〜76歳)の季節ごとの平均摂取量(秋2,280・冬2,135・春2,172・夏2,331 g/日)|確認日2026-10-03
- ・Kenefick RW, Hazzard MP, Mahood NV, Castellani JW (2004) Thirst sensations and AVP responses at rest and during exercise-cold exposure. Medicine & Science in Sports & Exercise 36(9):1528-1534. DOI:10.1249/01.mss.0000139901.63911.75|4℃と27℃の比較・寒さで渇きの感覚が最大40%弱まった|確認日2026-10-03
- ・Sawka MN, Burke LM, Eichner ER, Maughan RJ, Montain SJ, Stachenfeld NS (2007) American College of Sports Medicine position stand. Exercise and fluid replacement. Medicine & Science in Sports & Exercise 39(2):377-390. DOI:10.1249/mss.0b013e31802ca597|体重の2%を超える水分不足を防ぐ・汗の量の個人差・運動前後の体重で汗の量を見積もる|確認日2026-10-03
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