並んだ水のペットボトル3本とオフィスビルのアイコン。背景はオフィスビルの非常階段

会社の水の備蓄は1人何リットル?従業員の3日分=9リットルの根拠と置き場所

大きな地震で電車が止まったとき、会社にいる従業員はすぐに帰らず、職場にとどまることが求められています。そのあいだの飲み水は、会社が用意しておく必要があります。本記事では、内閣府(防災担当)のガイドラインと東京都の案内をもとに、会社・事業所が備える水の量と、置き場所・管理の考え方を整理します。

結論:水は従業員1人あたり1日3リットル、3日分で9リットル

先に要点です。内閣府(防災担当)の「災害発生時における大規模な帰宅困難者等の発生への対策に関するガイドライン」(令和8年1月)は、企業等が従業員を事業所内に待機させるための備蓄の目安として、水は1人当たり1日3リットル、計9リットルを示しています(内閣府「災害発生時における大規模な帰宅困難者等の発生への対策に関するガイドライン」参考資料2・2026年10月調査)。

同じガイドラインは、企業等だけでなく従業員自らも、ペットボトル入り飲料水などの備蓄に努めるよう求めています。家庭の備蓄の目安は備蓄水は1人何リットル必要?根拠と目安で整理しています。

なぜ「3日分」なのか

ガイドラインは、大規模な地震が起きたときの基本原則として「むやみに移動を開始しない」という一斉帰宅抑制を挙げています。公共交通機関が止まった状況で多くの人が一斉に帰ろうとすると、道路の混雑で救命・救助、消火活動などの妨げになるおそれがあるためです。

ガイドラインが前提とする想定では、行政機関等は発災後3日目まで救命救助活動や消火活動などを中心に対応し、発災4日目以降に帰宅困難者等の帰宅支援の体制へ移っていくとされています。そのため、企業等は従業員が事業所内に待機できるよう、3日分の必要な水、食料、毛布などの物資の備蓄に努めることとされ、備蓄量の目安は3日分、それ以上の備蓄も検討することとされています。

東京都は、東日本大震災で多くの帰宅困難者が出たことを受けて「東京都帰宅困難者対策条例」を制定し、2013年4月に施行しました。この条例は事業者に対して、従業員の一斉帰宅の抑制と、従業員の3日分の食糧等の備蓄について努力義務を課しています(東京都防災ホームページ「防災の基本は備蓄から」2026年3月16日・2026年10月調査)。

従業員10人、30人、50人、100人の事業所について、水の必要量(1人9リットル)と、外部の帰宅困難者のための10%を足した量、2リットルのペットボトルに換算した本数を並べた早見表の図
図1:従業員数別の水の量の早見(1人9リットルに人数を掛け、10%の上乗せと2リットルのペットボトルの本数は水のソムリエ編集部が計算) 図:水のソムリエ編集部作成

何リットル用意するか:人数で計算する

必要な量は、9リットルに従業員の人数を掛ければ出せます。図1は、その計算を人数別に並べたものです。数字はいずれも編集部の計算で、ガイドラインに人数別の表があるわけではありません。

2リットルのペットボトルに換算すると、1人9リットルは4.5本分です。人数に掛けてから2で割り、端数を切り上げれば必要な本数になります(10人なら45本、10%上乗せで50本)。数える対象は、ガイドラインのとおり正規・非正規を問わず事業所内で勤務する全従業員です。

事業所の備蓄の置き方と管理の4つのポイント(保管場所を分ける・備蓄の階が離れていれば執務室の近くにも置く・浸水するおそれのある場所は見直す・場所を共有し担当者が一覧表で管理する)を枠で並べた図
図2:事業所の備蓄の置き方と管理(内閣府のガイドラインと東京都の案内をもとに作成) 図:水のソムリエ編集部作成

どこに置き、どう管理するか

図2のように、量と同じくらい大切なのが置き場所です。内閣府のガイドラインは、備蓄品の保管場所を分散させることや、従業員にあらかじめ配っておくことの検討を求めています。

東京都の事業所向けの案内は、総務省の報告書(官公庁の備蓄物資の保管についての推奨)を引いて、次の2点を紹介しています。

同じ案内は、備蓄していても災害時にどこにあるか分からなければ意味がないとして、備蓄する場所を決めて従業員に共有しておくこと、「何が・どこに・どのくらいあるか」を表にまとめて定期的に見直すこと、管理の担当者を決めておくことを勧めています。ペットボトルの水には賞味期限があるため、ガイドラインも水や食料を選ぶ際は賞味期限に留意するよう書いています。期限が近づいた水の扱いは水の賞味期限はなぜある?保存の科学で整理しています。

まとめ

本記事の記載は2026年10月時点の調査にもとづきます。都道府県や市区町村によっては独自の条例や指針を定めている場合があります。事業所のある自治体の案内もあわせて確認してください。

出典

一次資料(政府機関・公的機関の公表資料および査読論文)

画像クレジット

この記事で使っている写真の出所です(本文の図はすべて自作です)。