お風呂の残り湯は洗濯に使える?節水と衛生の基本

「お風呂の残り湯を洗濯に使うのは、節約になるって本当?」「でも残り湯って、汚れていて洗濯物に良くないのでは?」——残り湯洗濯は、節水の定番として知られる一方で、衛生面の不安から迷っている方も多いテーマです。この記事では、洗剤メーカーであるライオンの公式解説をもとに、残り湯を「どの工程に」使えばよいのか、残り湯を清潔に保つ工夫、そして節水効果の数字までを整理します。

先に断っておくと、この記事は「残り湯は菌がいるからやめるべき」という話ではありません。工程を分ければ活用できる、というのが一次出所の整理です。不安をあおるのではなく、使い方のルールを確認していきます。

結論:残り湯は使える。ただし「洗い」だけに使い、「すすぎ」は水道水

先に結論です。ライオンの公式解説では、「残り湯を『すすぎ』の工程で使うと、菌や汚れが洗濯物に残ってしまうことがあります。残り湯を使うのは、最初の『洗い』の工程だけにして、『すすぎ』には水道水を使うことをおすすめします」と説明されています(Lidea by LION「お風呂の残り湯でお洗濯!」・2026年8月調査)

つまり、答えは「使える。ただし工程を選ぶ」です。洗濯には大きく「洗い」と「すすぎ」の2つの工程がありますが、残り湯の出番は最初の「洗い」だけ。仕上げの「すすぎ」は水道水に切り替える——この使い分けさえ守れば、残り湯は節水に活用できる、というのがメーカー解説の整理です。

浴槽の残り湯を洗濯機の「洗い」に使い、「すすぎ」には水道水を使う流れを描いたイラスト
残り湯の出番は「洗い」だけ。すすぎは水道水にします。図:水のソムリエ編集部作成

なぜ「洗い」だけなのか:ライオンの調査データから

残り湯にはどのくらい菌がいるのか

使い分けの背景には、残り湯の状態を調べたデータがあります。ライオンが一般家庭のお風呂の残り湯を調べたところ、「1mLあたり1,000~100万個の『菌』を検出しました」と報告されています。さらに、入浴直後と比べて翌日には約1000倍に増える場合があるとも説明されています(Lidea by LION・2026年8月調査)

この数字だけを見ると「やっぱり使えないのでは」と感じるかもしれません。しかし同じ解説が導いている結論は「使うのをやめましょう」ではなく、冒頭で紹介したとおり「洗いだけに使い、すすぎは水道水に」という使い分けです。数字は使い分けの理由として示されている、と読むのが正確です。

また「翌日には約1000倍に増える場合がある」という記載からは、残り湯を使うなら時間を置きすぎないほうがよい、という実践上のヒントも読み取れます。翌日まで持ち越した残り湯より、その日のうちの残り湯のほうが、この記載に照らせば条件が良いことになります。

「すすぎ」に使わない理由

すすぎは、洗剤や汚れを洗濯物から取り除く最後の工程です。ライオンの解説では、残り湯をすすぎに使うと「菌や汚れが洗濯物に残ってしまうことがあります」と説明されています。最後に洗濯物をくぐらせる水だからこそ、すすぎには水道水を使う、という理屈です。

ちなみに、日本の水道水は水道法にもとづく塩素消毒が義務づけられており、蛇口での残留塩素濃度を0.1mg/L以上保持するよう定められています(東京都水道局「塩素消毒」・2026年8月調査)。ふだん「カルキ臭」として話題になるこの塩素管理が、蛇口から出る水の衛生を支えています。水道水の塩素の役割については残留塩素の記事で詳しく整理しています。

清潔に保たれた浴室の白い浴槽
残り湯を使うなら、湯船を清潔に保つ工夫とセットで考えます。写真:Max Vakhtbovych/Pexels

残り湯を清潔に保つ4つの工夫

ライオンの解説では、洗濯に使う前提としてお風呂のお湯そのものを清潔に保つ工夫も紹介されています。挙げられているのは次の4つです。

どれも特別な道具のいらない、入浴時の習慣レベルの工夫です。残り湯洗濯は「洗濯のときだけ」の話ではなく、入浴の段階から始まっていると考えると取り組みやすくなります。家族で残り湯洗濯を続けるなら、この4点を家庭内で共有しておくのがおすすめです。

4点を時間の流れで並べ直すと、覚えやすくなります。入浴の前にあたるのが「からだを洗ってから入る」、入浴中にあたるのが「タオルを入れない」「浮いた髪の毛やゴミを取り除く」、入浴後にあたるのが「フタをしっかり閉める」です。前・中・後にそれぞれ一手間ずつ、という構成になっているわけです。

とくに最後の「フタを閉める」は、入浴が終わってから洗濯までの時間に効いてくる項目です。前節で触れたとおり、ライオンの解説では入浴直後と比べて翌日には菌が約1000倍に増える場合があるとされています。フタを閉めることと、翌日まで持ち越さずにその日のうちに洗濯へ回すこと。この2つは、残り湯の状態をなるべく良く保つという同じ方向の工夫として並べて考えられます。

入浴剤を使ったお湯はどうする?

入浴剤を入れたお湯を洗濯に使えるかどうかは、一律には決められません。ライオンの解説でも、入浴剤使用時は製品表示と洗濯機の説明書の確認が必要と案内されています。

確認する場所は2つです。1つは入浴剤のパッケージにある「残り湯を洗濯に使えるか」についての表示、もう1つはお使いの洗濯機の取扱説明書です。どちらか一方ではなく両方を確認する、と覚えておけば迷いません。表示や説明書で使えないとされている組み合わせの場合は、その残り湯は洗濯に回さない判断になります。

なぜ2か所なのかというと、確認している内容が別だからです。入浴剤側の表示は、その製品の成分を洗濯に使ってよいかという話。洗濯機側の説明書は、その機種が残り湯の使用や風呂水ポンプにどう対応しているかという話です。片方だけを見て判断すると、もう片方の条件を見落とすことになります。入浴剤の種類を変えたときは、そのつど表示を確認し直すのが確実です。

残り湯を洗いの工程に使ったときの節水効果を1か月約1,800リットル・年間21,600リットルとして示し、試算であることの但し書きを添えた図
「洗い」の置き換えだけで年間21,600リットルという試算です(試算であり保証ではありません)。図:水のソムリエ編集部作成

節水効果はどれくらい?

残り湯洗濯の動機である節水効果についても、ライオンの解説に数字があります。残り湯を洗いの工程に使うことで「1か月で約1,800L、年間21,600Lもの節水効果が得られます」という試算です(Lidea by LION・2026年8月調査)

年間21,600Lは、2Lのペットボトルに換算すると10,800本分に相当する量です(換算は編集部の単純計算)。すすぎまで含めた全工程を残り湯でまかなうわけではなく、「洗い」だけの置き換えでこの規模の節水につながる、というのがこの数字のポイントです。衛生面のルールを守ることと、節水効果を得ることは両立できます。

この数字の位置づけについても補足しておきます。示されているのは節水効果の試算であり、すべての家庭でこの通りになると保証するものではありません。洗濯の回数、洗濯機の容量、1回あたりに使う水の量は家庭ごとに違うため、実際の節水量はそれぞれの使い方によって上下します。それでも「洗い」の工程を置き換えるだけでこの規模の数字が挙げられている点は、残り湯洗濯を続ける動機として十分に大きいといえます。

なお、節水量を自分の家庭に当てはめて考えたい場合は、お使いの洗濯機の取扱説明書やカタログに記載されている「標準使用水量」を見ると、1回の洗濯にどれだけの水を使っているかの手がかりになります。そのうち「洗い」の分をどれだけ残り湯で置き換えられるか、という見方をすると、数字が自分ごとになります。

残り湯洗濯のルールを表で整理

場面ルール・記載ポイント
洗い残り湯を使ってよい工程残り湯の出番はここだけ
すすぎ水道水を使う(菌や汚れが残ることがあるため)最後の工程は水道水に切り替える
お湯の管理清潔に保つ工夫4点(からだを洗ってから入る等)入浴時の習慣から始まる
入浴剤入りのお湯製品表示と洗濯機の説明書を確認両方の確認が必要
節水効果1か月で約1,800L・年間21,600L「洗い」の置き換えだけでこの規模
表1:残り湯洗濯のルール整理。「ルール・記載」はLidea by LION「お風呂の残り湯でお洗濯!」の内容にもとづく(2026年8月調査・編集部作成)

迷ったら表1に戻ってください。「洗いは残り湯・すすぎは水道水」の1行を覚えるだけでも、残り湯洗濯の基本は押さえられます。

洗濯機に洗濯物を入れているところ
残り湯を使うのは「洗い」だけ。すすぎは水道水にします。写真:Towfiqu barbhuiya/Pexels

実践の流れ

ここまでの内容を、入浴から洗濯までの流れに並べ直します。

洗濯機に風呂水ポンプや残り湯コースがある場合の具体的な操作は機種によって異なるため、お使いの洗濯機の取扱説明書をご確認ください。

残り湯洗濯のよくある疑問

2回すすぐ場合、1回目のすすぎなら残り湯でもいいですか?

参照した解説の記載は「残り湯を使うのは、最初の『洗い』の工程だけ」であり、すすぎの回数によって例外を設ける書き方にはなっていません。本記事でも「すすぎは回数にかかわらず水道水」という整理にとどめます。

残り湯は温かいほうが汚れが落ちますか?

お湯の温度と洗浄力の関係については、今回参照した解説に記載がないため、本記事では断定しません。一次出所が挙げている残り湯洗濯の利点は、あくまで節水効果(1か月で約1,800L)です。温度の効果を期待するかどうかにかかわらず、「洗いだけ・すすぎは水道水」のルールは同じです。

残り湯を使うと洗濯機の内部が汚れませんか?

洗濯機の内部への影響については、今回参照したライオンの解説に記載がないため、本記事では断定しません。洗濯槽のお手入れの頻度や方法は機種によって案内が異なるので、お使いの洗濯機の取扱説明書に従ってください。残り湯を使う・使わないにかかわらず、説明書に書かれたお手入れを行うという点は共通です。

赤ちゃんの衣類やタオルにも使えますか?

参照した解説には、衣類の種類や家族構成による使い分けの記載はありません。本記事では一般的なルール(洗いのみ・すすぎは水道水・お湯を清潔に保つ)を紹介するにとどめ、気になる場合は残り湯を使わない選択も含めて各家庭で判断することをおすすめします。

「風呂水の張り置き」は別の話:災害への備えとして

残り湯の話題と混同されやすいのが、災害に備えて浴槽に水を張り置きしておく「生活用水の確保」です。こちらは洗濯のためではなく、断水時にトイレなどへ使う生活用水を確保しておくという別の主題で、考え方も注意点も異なります。詳しくは生活用水の備えの記事で整理しています。

また、飲み水の備えまで含めた災害対策としては、備蓄水やウォーターサーバーを非常時の備えとして位置づける考え方もあります。停電・断水時の備えとサーバーの関係は災害・停電への備えとウォーターサーバーの記事をご覧ください。日常の節水(残り湯洗濯)と、非常時の水の備え(張り置き・備蓄)を分けて考えると、家庭の水まわりの整理がしやすくなります。

まとめ

お風呂の残り湯と洗濯について、ライオンの公式解説から言えるのは次のとおりです。

「菌がいるから使えない」ではなく、「工程を分ければ活用できる」——これが一次出所から読み取れる結論です。入浴時のちょっとした習慣と「洗いだけ」のルールを守って、無理のない節水につなげてください。覚えることは多くありません。今日の洗濯から、洗いの工程だけ切り替えてみるところから始められます。

本記事の記載は2026年8月時点の調査にもとづきます。参照した解説の内容は変わる場合があるほか、洗濯機や入浴剤の仕様は製品ごとに異なるため、最新の情報は各公式ページ・取扱説明書でご確認ください。

出典

一次資料(公的機関の公表資料および企業の公式サイト)