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WUE(水利用効率)とは?PUEとの違いと、開示している会社の数

データセンターの水の話を調べていると、必ず出てくるのが「WUE」という3文字です。電力の効率をあらわす「PUE」と並べて使われますが、何を何で割った数字なのかは、あまり説明されないまま登場します。この記事では、WUEの定義と計算式、PUEとの違い、そしてこの数字を実際に公開している会社が何社あるのかを、公式の一次資料だけで整理します。

先に要点をまとめると、次の3点です。

順番に見ていきます。

WUE(水利用効率)とは:水を電力で割った数字

WUEは Water Usage Effectiveness の頭文字で、日本語では「水利用効率」と訳されます。データセンターが電力1kWhを使うあいだに、どれだけの水を使ったかを示す指標です。

Microsoftは自社データセンターの公式ページで、WUEの計算方法を次のように説明しています。1年間に加湿と冷却のために使った水の量(リットル)を、IT機器に電力を供給するために使った1年間の電力量(kWh)で割る——これがWUEです。単位はリットル毎キロワットアワー(L/kWh)になります(Microsoft「Measuring energy and water efficiency for Microsoft datacenters」・2026年9月7日確認)。

この定義をどこで確認したか

上の計算式は、Microsoft 1社の公式ページで確認したものです。WUEという指標そのものの出どころについて、当社が確認できたことと確認できなかったことを、先に分けて書いておきます。

分子と分母に何が入っているか

ここで一度立ち止まっておきたいのは、分子に入るのは「その施設で加湿と冷却に使った水」だけだという点です。式の定義がそうなっている以上、電気をつくる過程(発電所)で使われた水は、この数字には入っていません。WUEは「データセンターという建物が、冷やすために使った水」を測る指標だと理解しておくと、読み違えが減ります。

PUEとの違い:割っているものが違う

WUEとよく並べて出てくるのがPUE(Power Usage Effectiveness/電力使用効率)です。Microsoftの同じページによれば、PUEは施設全体に必要な電力量を、コンピューティングに使った電力量で割った値で、1に近いほど効率が良いとされています(Microsoft公式・2026年9月7日確認)。

2つを並べると違いがはっきりします。

指標分子分母単位
PUE(電力使用効率)施設全体に必要な電力量コンピューティングに使った電力量なし(比率)
WUE(水利用効率)加湿・冷却に使った水の量(L)IT機器に使った電力量(kWh)L/kWh
表1:PUEとWUEの違い(Microsoft公式ページの定義より作成・2026年9月7日確認)
PUEは施設全体に必要な電力量をコンピューティングに使った電力量で割った値、WUEは加湿と冷却に使った水の量をIT機器に使った電力量で割った値であることを、分子と分母の言葉だけで対比した図
PUEもWUEも、分母は電力量です。違うのは分子で、PUEは電力量、WUEは水の量です。図:水のソムリエ編集部が作成

PUEは電気を電気で割るので単位が消え、「1.2」「1.5」といった比率になります。一方WUEは水を電気で割るため、L/kWhという単位が残ります。同じ「効率」という言葉が付いていても、数字の性格は別物です。PUEが1に近づくほど良いという読み方は、WUEにはそのまま当てはまりません。

なお日本では、省エネ・非化石転換法にもとづくデータセンター向けの新しい措置が2026年4月に施行され、PUEの報告・公表などが始まっています。制度の中身は別の記事で扱っています(データセンターの冷却水問題とAI時代の水)。この制度で報告が求められているのは電力の指標であり、水の指標ではありません。

WUEの数字だけでは分からないこと

WUEは分かりやすい数字ですが、会社どうしを単純に比べる用途には向きません。理由は公式ページ自身が説明しています。

MicrosoftはPUEとWUEについて、数値に影響する変数の多くはデータセンターの立地に関係すると述べ、その例としてその地域の気候の湿度と気温を挙げています。さらにWUEについては、立地がより乾燥しているか湿潤であるかが影響する変数の例として書かれています(Microsoft公式・2026年9月7日確認)。

つまりWUEは、同じ会社の同じ拠点を年ごとに追いかけるには使えますが、条件の違う会社どうしを1つの数字で並べて優劣を語るには向いていない、ということです。

では、WUEを公開している会社は何社あるのか

ここからが本題です。当社は姉妹サイト「AIライフライン」で、大手クラウド・データセンター事業者15社の水に関する開示状況を月次で確認し、公開しています。確認しているのは開示があるかどうかと、その開示レベルだけで、各社の数値そのものは扱いません(理由は後述します)。

2026年8月21日に確認した時点の内訳は、次のとおりです。

開示レベル社数
WUEの数値まで開示4社
取水量・総量を開示7社
方針・目標のみ0社
開示なし・確認できず4社
合計15社
表2:大手クラウド・データセンター事業者15社の水開示レベル別の社数(AIライフライン 水章・2026-08-21確定)

15社のうち、WUEという指標の数値まで出しているのは4社でした。取水量や総量までは出しているが、WUEという形にはしていない会社が7社。当社が確認した範囲で水に関する開示を見つけられなかった会社が4社です。

各社の開示ページ

実際の中身は、各社の公式ページで確認できます。以下は当社が2026年8月21日に確認したときの開示ページです。

WUEの数値まで開示(4社)

取水量・総量を開示(7社)

当社が確認した範囲では水の開示を見つけられなかった(4社)

この4社について補足します。ここに挙げたのは「開示していない」という断定ではなく、「当社が確認した範囲では見つけられなかった」という意味です。水の開示は各社の任意であり、公表の場所や形式も統一されていません。別の資料に記載がある可能性は残ります。

なぜ各社の数値を載せないのか

AIライフライン 水章は、観測するのは開示の有無のみで、各社の数値(WUE・取水量)は転載しないという方針を定めています。この記事もそれに揃えました。

自分で確かめるときの手順

WUEの数字を自分で確かめたいときは、次の順序が分かりやすいでしょう。

  1. 1. 【手順1】上の一覧から、調べたい会社の公式ページを開きます。まとめサイトやニュース記事ではなく、その会社自身が出しているページから始めます
  2. 2. 【手順2】その数字がいつの1年間のものかを確認します。会計年度で区切っている会社が多く、暦年とはずれます
  3. 3. 【手順3】どの範囲の平均かを確認します。全世界の平均なのか、地域ごとなのか、特定の拠点なのかで意味が変わります
  4. 4. 【手順4】他社と比べたくなったら、立地の気候が近いかどうかを先に見ます。乾燥地と湿潤地の数字を並べても、設備の優劣にはなりません

まとめ

「AIが水を使う」という話は大きな数字とともに語られがちですが、その数字がどう定義され、誰がどこまで公表しているのかを押さえておくと、報道や記事を落ち着いて読めるようになります。

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出典

一次資料(規格・標準化団体の公式ページ、各社の公式サステナビリティ情報、および当社の観測データ)

本文中で各社の開示ページとして挙げたリンクは、AIライフライン 水章が2026年8月21日に確認した時点のものです。各社の公表内容は更新されるため、最新の状態は各リンク先でご確認ください。

データ出典:AIライフライン 水章

この記事で扱った「WUEを何社が開示しているか」は、当社が運営する定点観測サイト「AIライフライン」の水章から引用しています。引用するのは確定日の付いた値だけで、暫定値は使いません。