湯気の立つ浴槽と水の入ったコップのアイコン。背景は浴室の壁と手すりと浴槽

お風呂上がりの水分補給はなぜ大切?入浴の前後に水を飲む理由と冬の入浴の注意

お風呂上がりに水を飲むのは、のどが渇いたからだけではありません。環境省の「健康のため水を飲もう」推進運動は、入浴の前後を水分が不足しやすい場面の一つに挙げています。本記事では、環境省・消費者庁・長寿科学振興財団の公表資料をもとに、入浴の前後に水を飲む理由と、冬の入浴で気をつけたいことを整理します。

結論:入浴の前と後に、のどが渇く前に水を飲む

先に要点です。環境省の推進運動のページは、水分が不足しやすい場面として就寝の前後、スポーツの前後・途中、入浴の前後、飲酒中あるいはその後を挙げ、これらの場面で水分を摂ることが重要としています(環境省「『健康のため水を飲もう』推進運動」水と健康の基本情報・2026年10月調査)。

なお、腎臓や心臓などの病気の治療中で、医師から水分のとり方について指示を受けている人は、その指示に従ってください。環境省のページもこの点を明記しています。

1日に体から出ていく水(尿や便1.6リットル、呼吸や汗0.9リットル)と、取り入れる水(食事1.0リットル、体内で作られる水0.3リットル、飲み水1.2リットル)を、それぞれ合計2.5リットルの帯グラフで並べた図
図1:1日の水の出入り(成人の目安)。出ていく水と取り入れる水はどちらも約2.5リットル(健康長寿ネット「脱水」をもとに作成) 図:水のソムリエ編集部作成

なぜ入浴の前後に水を飲むのか

体の水は、何もしていなくても毎日出ていきます。長寿科学振興財団の健康長寿ネットによると、人は1日に尿や便として1.6リットル、呼吸や汗で0.9リットル、合計2.5リットルの水分を失います。図1のように、これに見合う量を食事に含まれる水分1.0リットル、体内で作られる水分0.3リットル、飲み水1.2リットルでとる必要があります(健康長寿ネット「脱水」・2026年10月調査)。

同じページは、脱水の予防方法として「喉が渇く前に水をこまめに飲む。就寝前、起床時、運動・入浴・飲酒の前後に水を飲むようにする」と書いています。環境省のページも、のどの渇きは脱水が始まっている証拠であり、渇きを感じてから飲むのではなく、渇きを感じる前に水分を摂ることが大事だとしています。お風呂上がりに「のどが渇いたら飲む」のではなく、入る前と出た後に飲むことを習慣にしておくと、飲み忘れを防げます。

高齢になるほど、水分が不足しやすい

健康長寿ネットによると、体に占める水分の割合は成人で約60%ですが、65歳以上では約50%と低くなります。さらに、のどの渇きを自覚しにくくなる、腎臓の働きが低下する、食事の量が減って食事からとる水分が少なくなる、トイレへの移動を負担に感じて水分を控えがちになる、といった理由で、高齢者は脱水になりやすいと説明されています。家族の入浴の前後に一声かけて、水を勧めるのも一つの方法です。

入浴の前と入浴の後を矢印でつないで並べ、その下に水分補給に向く飲み物と向かない飲み物を2つの枠で示した図
図2:入浴の前後に飲むものと、水分補給に向く飲み物・向かない飲み物(環境省・健康長寿ネットの案内をもとに作成) 図:水のソムリエ編集部作成

お風呂上がりに何を飲むか

環境省のページは、水分補給に使う飲み物について二つの注意を挙げています。一つは、砂糖や塩分などの濃度が高いと吸収までの時間が長くなること。もう一つは、アルコールや多量のカフェインを含む飲料は尿の量を増やして体内の水分を排せつしてしまうため、水分補給としては適さないことです。

図2のように、お風呂上がりの一杯は水が基本です。湯上がりのビールは水分補給にはならないため、飲む場合も先に水を飲んでおくと考えるとよいでしょう。環境省の推進運動は、水道など身近にある水の大切さを再認識することも目的に掲げています。水道水の安全性については水道水はそのまま飲める?安全性の根拠で整理しています。

環境省のページは、水分の摂取量は多くの人で不足気味であり、平均的にはコップの水をあと2杯飲めば、一日に必要な水の量をおおむね確保できるとしています。入浴の前後の2回はその「あと2杯」に当てやすい場面です。

冬の入浴で事故を防ぐための6つの確認点を、番号付きのカードで並べた図
図3:冬の入浴中の事故を防ぐための6つの確認点(消費者庁の注意喚起をもとに作成) 図:水のソムリエ編集部作成

冬の入浴で気をつけること

冬は入浴中の事故が増える季節です。消費者庁は、入浴中の事故は持病がない場合や前兆がない場合でも発生するおそれがあるとして、図3の6点を確認するよう呼びかけています(消費者庁「みんなで知ろう、防ごう、高齢者の事故」入浴中の事故・2026年10月調査)。

消費者庁の2018年の注意喚起は、厚生労働省の研究班の調査をもとに、病死などを含めた全国の入浴中の急死者数が年間約19,000人と推計されていることを紹介しています(消費者庁「冬季に多発する入浴中の事故に御注意ください!」平成30年11月21日・2026年10月調査)。お酒を飲んだあとの入浴を控えることは事故防止の確認点の一つでもあり、湯上がりに飲むなら水から、という考え方とも合います。

まとめ

本記事の記載は2026年10月時点の調査にもとづきます。体調や持病によって適切な水分のとり方は異なります。気になる症状がある場合は医師に相談してください。

出典

一次資料(政府機関・公的機関の公表資料および査読論文)

画像クレジット

この記事で使っている写真の出所です。アイキャッチの背景写真(CC BY)は、ライセンスの条件に従って撮影者・ライセンス名・元ファイルへのリンクを表示しています(本文の図はすべて自作です)。